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<17>娘さん 頬杖はいかんなあ

[娘さん 頬杖はいかんなあ]     


(読売新聞  2008年3月14日)
(元東京医科歯科大学教授エッセイ)



春とはいえ、まだまだ寒さの残る昼下がりのカフェ。
弱い日差しが、レースのカーテン越しに部屋を照らしている。
テーブルのコーヒーを口に運ぶわけでもなく、遠い世界に思いを
よせるかのごとく、少女が頬杖をついて窓の外を眺めている。
2階からは、葉を落としたままのケヤキ並木越しに、引っ切り無しに
行き交う車が見える。
気だるい雰囲気に包まれたまま、時はゆっくりと流れて行く・・・。


う〜ん、アンニュイだなあ、ボーッと眺めていた私だが、
ふとわれに返り、「頬杖はいかんなあ」と気になり始めた。
少女はかなり長い間、片方の手で頬杖をしたままなのである。
教えてあげようかな、と思った。
何か話しかけるきっかけはないだろうか? 
いやいや、見ず知らずのおじさんから話しかけられれば、驚くに
違いない。
驚くだけならよいが、変なおじさんとばかり、警察にでも
突き出されたらかなわない。


何が心配かというと、頬杖ばかりをついていると、
「顎関節症」を引き起こしてしまうことがあるからである。
顎関節症とは、上あごと下あごをつないでいる関節部分に起こる
疾患で、あごを開いたり閉じたりするときに、雑音(その音の
様子からクリック音とも呼ばれる)や痛みを生じ、そのために
口が十分に開かないなどを主な症状とする。
さらには、首筋の痛みや肩こり、腰痛などまで引き起こす。
子どもでも、大人でも年齢を問わず、性別も問わない。
つまり誰でも起こる可能性がある。

あごがまっすぐに開かない、歯ぎしりや噛みしめが多い、詰め物や
被せ物が合わないなどが原因で生じる。
頬杖もそうだが、大きなあくび、寝違えなどが引き金となって
起こることもある。
こういった諸原因の結果、あごを動かす筋肉が異常に緊張して
しまうのである。

治療法は、他の疾患と同じように、まずは顎関節症を起こして
いると思われる原因を除去する。
筋肉の緊張を取り除くことから始める。
マウスピースをはめたり、噛み合わせの状態を直したりする。
鎮痛剤、消炎剤、筋弛緩剤などの薬物療法、また冷湿布、温湿布、
マッサージなどの理学療法も
症状の緩和には効果的である。


頬杖のように、原因がはっきりと分かるものはまだよい。
確かに顎関節がおかしいとは言うものの、原因が全く分からず、
治療の施しようのないものも時として見受けられる。
こうなると、顎関節という局所的な問題だけではなく、
心身医学的なことも考えなくてはならない。



やはり、あの少女には頬杖はよくないことを伝えておこう。
と思ったら、少女はいないではないか。
それにここはカフェでもない。
医局の窓辺でスタッフのひとりが、頬杖をついてうたた寝を
しているだけだった。

あれれっ! 夢を見ていたのかな?



http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/karadaessay/20080314-OYT8T00510.htm

 

 

 


 

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