<症例1>
40代男性、歯科技工士。 虫歯はなく、小さな治療跡は数本あるだけです。 歯並びも良い方です。 若干噛み合わせが深いですが、一般的には正常範囲内です。
しかし、クレンチング(噛みしめ/食いしばり)を自覚して いました。 特に最近、仕事が忙しくてクレンチングがひどかったとのこと でした。
その後、味覚異常が出現しました。
内科疾患はなくて服薬もしていませんでした。 薬剤性の味覚異常は否定されました。
血液検査の結果、血清亜鉛の値は正常範囲内でした。
そこで、クレンチング対策として、 ・日中は意識してクレンチングを止めるように説明 止められない場合には、筋弛緩薬+スプリント ・夜間は筋弛緩薬+スプリント
数か月後、クレンチングの頻度・程度が減少しました。 それに伴い、味覚異常も自然治癒しました。
<症例2>
20代男性。 多数歯を治療。 治療途中から味覚異常が出現したそうですが、軽度であったのと、 治療が終われば治ると思っていたので伝えなかったとのこと。 ところが、治療終了後に味覚異常が悪化しました。
大学病院口腔外科へ紹介して検査をしてもらいました。 しかし、口腔外科でも原因は解りませんでした。
ところが、4か月後に味覚異常は自然治癒しました。 虫歯が多くて、多数歯を治療したために、噛み合わせ(咬合)が 変わりました。 新しい噛み合わせに慣れるまで、クレンチングが悪化したために、 味覚異常を発症したと推察しました。 新しい噛み合わせに慣れると、クレンチングが減少して4か月後に 味覚異常は自然治癒したと考えられました。
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