病態 |
続発性副甲状腺機能亢進症 |
偽性副甲状腺機能低下症 |
概要 |
低Ca血症のために |
持続的低Ca血症により、 |
血中Ca濃度 |
Ca→(Ca↑) |
Ca↓(Ca→) |
口腔領域 |
歯周病が進行しやすい |
虫歯が次々に発生しやすい |
体の |
Ca不足だけであれば中性付近 |
長期のCa不足に加えて |
局所麻酔 |
体が中性付近であれば |
体が酸性なので局所麻酔が奏功しないことが多い |
全身疾患 |
不眠 |
過換気症候群 |
[虫歯と歯周病とカルシウムパラドックス]
カルシウムの摂取不足や相対的不足が続くと、「副甲状腺ホルモン(PTH)」の分泌が
亢進する。
副甲状腺ホルモンは、血中Ca不足を改善するべく、骨吸収を促進させる。
その結果、骨からカルシウムとリン酸が血漿に供給され、血中Ca濃度が改善する。
しかし、常にカルシウム不足が続けば副甲状腺ホルモンは分泌しつづけ、骨吸収を促進
させるため、歯周病が進行する。
また、根尖に炎症があると、骨吸収促進状態のため、大きな根尖病巣ができることが
多くなる。
さらに継続的にカルシウム不足が続けば、副甲状腺ホルモンは分泌しつづけるが、
骨や腎臓の受容体が麻痺して機能低下を起こす。
感受性が低下した状態であり、2型糖尿病におけるインスリン抵抗性と似たような状態に
なる。
骨吸収が間に合わなくなり、カルシウムの補充が不足するため、血中Ca濃度が低下する。
同時に体や唾液も酸性に傾くことが多いため、虫歯が発生しやすくなる。
歯科医院で歯磨きの合格をもらったにも関らず、次々に虫歯が発生する人は少なくないが、
歯ぎしりやくいしばりか、このカルシウムパラドックスが主な原因だと思う。
これに、「GERD胃酸逆流症」を併発すれば、治療のスピードを越えて虫歯が多発する。
ここまでカルシウム不足が続くと、神経細胞のカルシウム関連機構も破綻していて、
舌痛症や神経痛の慢性疼痛や、頭頚部の筋肉痛も重症化してくる。
なかには、ステップ1の状態を無症状で過ごして、いきなりステップ2を発症する人も
珍しくない。
また、ブラッシングが極めて上手だと、口腔内の症状はマスクされて見えてこないことも
ある。
その場合には、全身症状だけが出現することになる。
(横山歯科医院)
「カルシウムパラドックス」だけで全ての事象が説明できるわけでは無い。
日本人の最も不足している栄養素であるカルシウムが足りているような食生活の人は、
他の栄養素も足りている確率が高く、そういう人は、虫歯も歯周病もあまりなく、
歯科医院と疎遠で歯科医院にとっては困った人々であるけれども、こうした人々が
大病をして入退院を繰り返す確率は低いだろうと思う。
病気が栄養だけで語れるはずはなく、遺伝や感染症の影響の方が大きいのは当然である。
しかし、遺伝や感染症に縁が無い人々にとって次の問題が栄養である。
カルシウム不足の可能性の話をすると、患者さんの反応は決まって「じゃー、牛乳を
いっぱい飲めばいいんですか?」となる。
しかし、話はそう簡単では無い。
日本人にとってカルシウム摂取不足も問題ですが、その何倍も問題なのは、リンP過多
である。
リンは、加工食品やインスタント食品、清涼飲料水などに大量に含まれている。
過剰なリンを排泄するのにカルシウムが利用され、カルシウム不足に拍車がかかって
しまう。
また、カルシウムだけの摂取では、鉄や亜鉛、マグネシウムの吸収を抑制することが
あるので要注意である。
牛乳にはカルシウムが多く含まれているが、リンも多く含まれている。
日本人には、乳糖不耐症や隠れ乳糖不耐症の人が多く、それらの人々が無理して
牛乳を飲むと、腸内環境が悪化し、他の栄養素も含めて吸収が悪くなるので
さらに要注意である。
(横山歯科医院)
栄養医学・咬合・機能
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横山歯科医院
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