[辺縁性歯周炎の原因と対策]
辺縁性歯周炎とは一般的な歯周炎のことです。 歯周病は ・力の側面 ・態癖(生活悪習癖) ・感染症の側面(歯周病原因菌) ・全身的要因 ・喫煙 の混合疾患です。
<力の側面>
歯周病の初発部位や進行部位は、必ず咬合(噛み合わせ)が関係 しています。 通常は、強く接触する歯が歯周病が進行しやすい傾向にあります。 また、奥歯の強く接触する歯を避けるように無意識に噛み方を 調整して、前歯が強く接触してしまい、前歯が動き出して歯周病が 進行してしまうことがあります。 この場合、歯周病が進行している歯は結果なので、前歯の歯周病 治療をしてもすぐに再発してしまいます。
夜間のマウスピース(スプリント)使用で劇的に歯周病が 改善することも少なくありません。
「交叉咬合」の場合、8020(80歳で20本の歯を残す運動)は おろか8010も厳しい状況です。 それは、チューイングサイクル(咀嚼パターン)が横方向のため 歯肉や歯槽骨などの歯周組織に大きな負荷がかかるためです。 小児のうちに発見して治療することが重要です。 成人でも若いうちならば歯列矯正してみる価値はあります。 若いうちならばチューイングサイクル(咀嚼パターン)を 修正できるかも知れないからです。
<機能の側面>
片側噛みをすると、噛み癖側の顔の長さが縮むことは有名です。 このことを専門に研究している歯科医師によれば、口元に左右差が 生じるのに平均3年、目元に左右差が生じるのに平均8年かかる そうです。 何らかの理由で噛み癖側が左右逆転し4〜5年経過すると、口元は 新しい噛み癖側が縮みますが、目元は昔の噛み癖側がまだ縮んで いるので、平行四辺形の顔になるそうです。 左右両側均等に噛めるのが理想です。
口呼吸では前歯部の歯牙と歯肉が乾燥するので、歯磨きしやすい 前歯にも関わらず、虫歯や歯周病が進行します。 歯牙着色の原因にもなります。 歯肉が黒くなる一因にもなります。
口唇引き締め癖や口唇巻き込み癖は、オトガイ(下顎の先端)に 梅干しができるような、口唇が過度に緊張している場合、歯に 横方向(前方)からの力が常に加わっているため、歯周病が進行 します。
舌の動きが悪いや滑舌が悪い場合、舌の動きが悪いと自浄作用が 弱く、食物残渣が停滞しやすいために歯周病が進行します。
<感染症の側面>
歯周病は大なり小なり細菌感染が関係しています。 歯周病原因菌であったり、口臭原因菌であったりです。 虫歯の原因は、ミュータンス菌ではなくて歯周病原因菌である とする考え方があります。 大きな虫歯ができた歯は、最も多く歯石がついていたり、最も 歯周病が進行していることが多いのは確かです。 歯周病の原因はカンジダ菌(真菌・カビ)であるとする考え方も あります。 カンジダ菌の治療(抗真菌薬)によって歯周病が改善する人もいる ことは確かです。 カンジダ菌やスピロヘータが、代表的な歯周病菌である ポルフィノモナス・ジンジバリス菌(PG菌)の増殖に適した 環境をつくることが重度歯周病の一因になっています。 カンジダ菌の数を減らせば、それに伴ってポルフィノモナス・ ジンジバリス菌も減少することになります。
<栄養の側面>
昔ながらの生活スタイルを守っている民族(いわゆる先住民)は 歯周病が極めて少なく、歯並びも良いことが多いのは何故で しょうか? たとえ昔ながらの食事が軟らかい食べ物である民族においても 歯周病が極めて少なく、歯並びも良いのです。 民族独自のビタミンやミネラルが豊富な食事を摂る工夫やビタミンや ミネラルを喪失しない伝承が歯や歯周組織、歯列や顎を守っている のです。
<全身的要因>
・睡眠不足 ・栄養障害 ・身体的ストレス(寒い熱い、働き過ぎ、運動のし過ぎ) ・まれに、精神的ストレス ・ドライマウス口腔乾燥症 ・唾液の性状悪化
<喫煙>
歯周病を治したい、予防したいと、本気で考えるならば禁煙外来を 受診するしかありません。 当院において、喫煙者で「8020」の達成者は2名しかいません。 (8020:80歳で20本以上の歯がある)
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