歯周病 

更新日:2018年10月31日

ピクチャ 6

辺縁性歯周炎の原因と対策 

辺縁性歯周炎とは一般的な歯周炎のことです。
歯周病は
  ・
力の側面
  ・態癖(生活悪習癖)
  ・感染症の側面(歯周病原因菌)
  ・全身的要因
  ・喫煙

の混合疾患です。




<力の側面> 

歯周病の初発部位や進行部位は、必ず咬合噛み合わせ)が関係
しています。
通常は、強く接触する歯が歯周病が進行しやすい傾向にあります。
また、奥歯の強く接触する歯を避けるように無意識に噛み方を
調整して、前歯が強く接触してしまい、前歯が動き出して歯周病が
進行してしまうことがあります。
この場合、歯周病が進行している歯は結果なので、前歯の歯周病
治療をしてもすぐに再発してしまいます。

夜間のマウスピース(スプリント)使用で劇的に歯周病が
改善することも少なくありません。

「交叉咬合」の場合、8020(80歳で20本の歯を残す運動)は
おろか8010も厳しい状況です。
それは、チューイングサイクル(咀嚼パターン)が横方向のため
歯肉や歯槽骨などの歯周組織に大きな負荷がかかるためです。
小児のうちに発見して治療することが重要です。
成人でも若いうちならば歯列矯正してみる価値はあります。
若いうちならばチューイングサイクル(咀嚼パターン)を
修正できるかも知れないからです。





<機能の側面> 

片側噛みをすると、噛み癖側の顔の長さが縮むことは有名です。
このことを専門に研究している歯科医師によれば、口元に左右差が
生じるのに平均3年、目元に左右差が生じるのに平均8年かかる
そうです。
何らかの理由で噛み癖側が左右逆転し4〜5年経過すると、口元は
新しい噛み癖側が縮みますが、目元は昔の噛み癖側がまだ縮んで
いるので、平行四辺形の顔になるそうです。
左右両側均等に噛めるのが理想です。

口呼吸では前歯部の歯牙と歯肉が乾燥するので、歯磨きしやすい
前歯にも関わらず、虫歯や歯周病が進行します。
歯牙着色の原因にもなります。
歯肉が黒くなる一因にもなります。

口唇引き締め癖や口唇巻き込み癖は、オトガイ(下顎の先端)に
梅干しができるような、口唇が過度に緊張している場合、歯に
横方向(前方)からの力が常に加わっているため、歯周病が進行
します。


舌の動きが悪いや滑舌が悪い場合、舌の動きが悪いと自浄作用が
弱く、食物残渣が停滞しやすいため歯周病が進行します。




<感染症の側面> 

歯周病は大なり小なり細菌感染が関係しています。
歯周病原因菌であったり、口臭原因菌であったりです。
虫歯の原因は、ミュータンス菌ではなくて歯周病原因菌である
とする考え方があります。
大きな虫歯ができた歯は、最も多く歯石がついていたり、最も
歯周病が進行していることが多いのは確かです。
歯周病の原因はカンジダ菌(真菌・カビ)であるとする考え方も
あります。
カンジダ菌の治療(抗真菌薬)によって歯周病が改善する人もいる
ことは確かです。
カンジダ菌やスピロヘータが、代表的な歯周病菌である
ポルフィノモナス・ジンジバリス菌(PG菌)の増殖に適した
環境をつくることが重度歯周病の一因になっています。
カンジダ菌の数を減らせば、それに伴ってポルフィノモナス・
ジンジバリス菌も減少することになります。





<栄養の側面> 

昔ながらの生活スタイルを守っている民族(いわゆる先住民)は
歯周病が極めて少なく、歯並びも良いことが多いのは何故で
しょうか?
たとえ昔ながらの食事が軟らかい食べ物である民族においても
歯周病が極めて少なく、歯並びも良いのです。
民族独自のビタミンやミネラルが豊富な食事を摂る工夫やビタミンや
ミネラルを喪失しない伝承が歯や歯周組織、歯列や顎を守っている
のです。




<全身的要因>  

  ・睡眠不足
  ・栄養障害
  ・身体的ストレス(寒い熱い、働き過ぎ、運動のし過ぎ)
  ・まれに、精神的ストレス
  ・ドライマウス口腔乾燥症
  ・唾液の性状悪化





<喫煙> 

歯周病を治したい、予防したいと、本気で考えるならば禁煙外来を
受診するしかありません。
当院において、喫煙者で「8020」の達成者は2名しかいません。
(8020:80歳で20本以上の歯がある)

ピクチャ 7

歯周病検査=歯周組織検査  

歯周組織検査の目的は、歯周病の進行度を調べることです。
歯周組織検査を定期的に実施することによって以下のようなことが
判ります。
 ・歯磨きが悪いことが原因の、いわゆる一般的な歯周病
 ・噛み合わせが原因の歯周病
 ・全身状態の悪化、免疫力低下、栄養障害が原因の歯周病


<歯肉退縮>
歯肉退縮の原因は、動揺度と同じように
 ・歯周病の進行
 ・歯ぎしりや片側噛みによる咬合負担
 ・異常嚥下癖による負担
などです。


<歯周病ポケット>  
歯と歯肉との境目の溝を「歯肉溝」といいます。
歯と歯肉との間にはわずかな隙間があります。
0.5〜1.0mmの深さまでが正常で、正常な状態を歯肉溝と
呼びます。
歯肉の形態は常に変化しているため、誤差の範囲である
mm以下の浅い溝までを正常として扱うのが一般的です。
mmを超えると病的な状態として扱い「歯周ポケット」と
呼び名がかわります。
現在の炎症の進行状況をあらわしています。


<アタッチメントロス>  
歯肉退縮と歯周ポケットとを合算したのがアタッチメントロスです。
今までのトータルの歯周病の進行結果をあらわします。
歯肉退縮が0mm、歯周ポケットが7mmで、歯肉がブヨブヨの
人のアタッチメントロスは7mmです。
歯周病治療が終了して、歯磨き状態の良い人の状態が、歯肉退縮が
5mm、歯周ポケットが2mm、アタッチメントロスは7mmです。
現時点での両者のトータル歯周病進行状況はほぼ一緒です。

前者の治療が進んだ場合、歯肉退縮が0mmのままで、歯周
ポケットが2mmに改善し、アタッチメントロス
も2mmに
なる
ことも、稀にはあります。
あるいは、歯周ポケットが2mmに改善したものの、歯肉退縮が
4mmになり、アタッチメントロスが6mm
で、アタッチメント
ロスで1mm
の改善に留まることもあります。
それは、歯槽骨など歯周組織の状態にもよります。

これが、「歯周病は治りますか?」の回答です。




[カンジダ菌培養検査]  

歯周病の原因としてカンジダ菌が考えられる場合に行います。

ピクチャ 5

[顎骨の新陳代謝]  

歯槽骨や顎骨の新陳代謝のスピードは、一般的な骨の10倍以上と
考えられています。
ビスホスホネート薬(抗がん剤/骨粗鬆症治療薬)による骨壊死は、
主に顎骨に起こります。
これは、歯槽骨・顎骨が常に口腔内細菌に直面していることに
加えて、上記の新陳代謝のスピードが関係していると考えられて
います。




[歯周病治療]  

<力の側面の治療> 
  ・スプリント(マウスピース)治療
  ・咬合(噛み合わせ)治療
  ・歯列矯正治療


<感染症の側面の治療>  
基本は何と言っても「歯磨き」です。
磨いていると磨けているとは別物です。
それを判別するのは歯垢染め出し剤です。
液状の物や錠剤タイプが市販されています。

歯ブラシの質も重要です。
軽症〜中等度の患者さんには、GC社製の「プロスペック」が
お勧めです。
「プロスペック」でしか磨けないとも言えます。
大学歯学部の教員と学生の80%以上が使用していたことからも
質の高さがおわかり頂けると思います。

歯肉が痛くて磨けない患者さんの場合には、ソフトかウルトラ
ソフトの歯ブラシを選択すると同時に、栄養改善を図る必要が
あります。

必要に応じて、歯間ブラシやデンタルフロスも使用しましょう。


軽度〜中等度の歯周病の場合には、歯石を取った方が良いでしょう。
重度の場合には、歯の動き具合や、歯肉の炎症の程度を考慮
しながら、歯石を取るタイミングを図ります。


<全身的要因の治療>  
唾液には、口腔内の汚れや細菌を物理的に洗い流す作用に
加えて、抗菌物質・殺菌物質が含まれています。
唾液が減少すれば、歯周病は悪化しやすくなります。
ドライマウス口腔乾燥症の場合には、その治療が必要です。

たとえ唾液が減少していなくても、唾液の性状が悪化している
患者さんは少なくありません。
 ・粘性唾液(粘る唾液)
 ・糸曳き唾液
 ・泡状唾液
このような唾液には、抗菌物質・殺菌物質があまり含まれていない
ため、歯周病は悪化しやすくなります。

 

歯周病

特殊な歯周病 

薬剤性の歯周炎 

歯周病の鑑別疾患 

歯周病と全身疾患との関係 

歯周病は前癌病変 

歯肉出血時の手当て

下顎骨における骨髄造血説 


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*カンジダ症 

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