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[ビスホスホネート系薬剤関連顎骨壊死]     

(Wikipedia)

ビスホスホネート系薬剤関連顎骨壊死(BRONJ)は、ビスホスホネート系薬剤を内服している
患者に発生する特徴的な顎骨壊死症状であり、同薬剤長期投与による骨代謝異常に起因する
医原性疾患であると考えられる。

通常の歯科治療に関連する合併症として発症・顕在化することが多く、抜歯などの口腔外科手術や
歯周外科手術、歯内治療、歯周治療後に創傷治癒が正常に機能しない事により発生・重篤化する。

現在のところ、同薬剤投与を避ける以外の有効な予防法はない。
一旦発症すれば症状は進行性で、極めて難治である。


近年日本国内では、骨折予防などの目的で、適切なリスク開示もないまま関連各科より同薬が
大量に投与されている。
それに伴って近い将来に、この疾患の爆発的増大が懸念されている。



<概要>
顎骨の広範な骨壊死もしくは細菌感染症は、抗生物質の普及した時期以降は放射線治療・
化学療法を受けている悪性腫瘍の患者や腫瘍や感染性の塞栓をもつ患者などに散見される
稀な病態であった。

2003年、ビスホスホネートの静脈注射を行っている患者の骨壊死のリスクの増大が報告された。
以降、ビスホスホネート系薬剤による顎骨壊死は医療上の問題となっている。

多くの場合、担癌患者に対する高用量静脈内投与で発生しているが、経口製剤でも数は少ないが
発症が認められている。

日本では経口製剤の内服による同症状を訴える人の割合が多いが、これは注射用製剤との認可日の
差からではないかと考えられており、今後は注射用製剤による患者が増えてくるのではないかと
されている。


およそ60%が抜歯などの観血的な歯科治療を行った後に発生することは、感染の可能性がある
部位の歯科治療が終わるまではビスホスホネートの開始を進めるべきではないことを示唆して
いる。

観血的な歯科治療を行う場合、休薬をおこなったうえで行うべきとの考えもあるが、その必要性、
必要な期間についても多くの見解があり、また、休薬が医学的に困難であるケースもある。


放射線治療など、他の原因にて発生する顎骨壊死よりも難治性であることから、大きな問題と
なっており、製薬会社や各国の口腔外科・骨関係の学会から注意・警告が発せられている。


報告の増加の結果、アメリカ合衆国食品医薬品局は警告を発表、厚生労働省医薬食品局
安全対策課も添付文書改訂を指示する等、各国の行政からも警告がなされている。


現在までのところその発生機序はいくつかの説があるのみであり、診断基準についても国際的な
統一見解はない。

また、すべての外科処置の前に抗生剤の使用を行うべきかもしれないとの考えもある。



<発症機序>
この発症機転は、顎骨の生理的なリモデリング速度や、局所的な細菌感染病態の特徴と関連して
いると仮説されている。
ビスホスホネート系製剤の投与による強い破骨細胞の抑止機能は全身のあらゆる骨で代謝の
抑制を引き起こすが、ビスホスホネートは代謝に伴って骨に沈殿されるので、骨内ビスホスホ
ネートの濃度はもともと代謝の活発な骨部位においては更に選択的に上昇する。


顎骨とりわけ歯牙支持組織である歯槽突起部は常に摂食に伴う強力な咀嚼圧に晒される
部位であり、このため歯槽部の骨リモデリング速度は全身骨平均の10倍程度に及ぶと推計
されている。

この高い骨代謝速度によってビスホスホネート剤は選択的に歯槽部に沈着し、歯牙歯周感染症に
対する感染防御機転の一部をなしている骨吸収プロセスを阻害する。

また、この歯槽骨は解剖的には薄い歯肉粘膜を介するのみで、きわめて常在細菌叢に富む
口腔内に近接しており、常に細菌感染に晒されうる部位であることが、この部位にビスホスホ
ネートによる骨感染・骨壊死を初発することの原因と考えられている。


マトリクス・メタロプロテイナーゼ2は骨の異常と心房細動の両方という、ビスホスホネートの
他の副作用にかかわる事が判明している唯一つの遺伝子なので、もしかしたらビスホスホネート
系薬剤関連顎骨壊死の候補遺伝子かもしれないとの報告もある。



<症状>
二次感染による病変部の疼痛や腫脹が多くの場合見られるが、感染等が無い場合、骨の露出以外に
症状がない場合も有る。
進行により顎骨の口腔内への露出部位が腐骨を形成することも有る。
このほか、排膿や知覚麻痺、歯の脱落、発熱、倦怠感等が見られる事もある。
同部からの感染が原因で敗血症になった症例の報告も有る。



<治療>
現在のところ、有効な治療法は確立されておらず、2007年にはアメリカ口腔顎顔面外科学会が
治療方法のガイドラインにて、患者教育や、経験に基づく保存的治療を推奨している。

外科的な処置は、分離した腐骨の除去等が行われる他、一部の重症例では顎骨の切除が有効と
している。

一方で、休薬後の外科的な処置が治療として有効であるとする報告もあり、結論は出ていない。


他の顎骨壊死とメカニズムが異なるため、クリンダマイシンや高圧酸素療法の適応はないと
されるが、高圧酸素療法については、その有効性を示唆する報告も出ており、補助療法として
用いられるなど、評価が分かれている。



<予防>
現在のところ、確実に予防する方法は無いが、専門家による口腔清掃や、歯科治療前の抗生剤の
投与により、発症のリスクを低下させることができるとの研究がある。

また、投与期間中の歯科治療を避けるために、医学的に時間の余裕がある場合では、
投与開始前に歯科・口腔外科を受診し、歯科治療を終了させるという考えも有る。
しかしながら、ビスホスホネートの使用の遅れが生命予後に関係する場合もあり、判断が容易
ではない。



<歴史>
ビスホスホネートの静脈注射を行っている患者の骨壊死のリスクの増大が最初に報告されたのは
2003年である。

発売元のノバルティスは、動物実験や臨床研究において発生しなかったことから、その原因は
骨壊死の患者が受けていた化学療法剤であるとし、因果関係を強く否定した

しかし、2005年のアメリカ口腔顎顔面外科学会年次総会において、臨床試験においてそもそも
口腔内診査を行っておらず、観察項目に入れていなかっただけで、口腔内骨露出を訴えていた
患者がいたにも関わらず追跡を行っていなかったことが明らかとなった。

報告の増加の結果、アメリカ合衆国食品医薬品局は2005年にすべてのビスホスホネート製剤の
合併症について警告を発表した。

厚生労働省医薬食品局安全対策課も2006年10月に添付文書改訂を指示した。

その後も報告される症例数は急増しており、研究が進められている。



<疫学>
アメリカ合衆国の調査では、アメリカ合衆国で経口ビスホスホネート製剤を使用した患者は
2006年には、3,000万人いるにも関わらず、全体の10%未満の患者のみが経口ビスホスホネート
製剤の内服患者で、大部分は静脈内投与の患者であった。

がん治療にゾレドロン酸の静脈内投与を行っている患者の約20%、経口ビスホスホネート製剤
内服者の0〜0.04%で骨壊死がおこると推測している報告がある。

アメリカ口腔顎顔面外科学会が発行した「updated 2009 BRONJ Position Paper」によれば、
ビスホスホネートの強度及び曝露期間はともにビスホスホネート系薬剤関連顎骨壊死発症の
リスクとリンクしている。


これまで、頭蓋骨以外でビスホスホネート製剤関連の副作用は報告が無く、下顎骨に発症する
ケースが上顎骨の場合に比べ、2倍程度多い。


骨形成不全症の小児へのビスホスホネートの使用例では発生の報告はない。



<日本の状況>
日本口腔外科学会が2006年に行った全国調査で28例、2007年の発売元製薬会社の調査で約100例、
日本口腔外科学会が2008年6月に行った調査では580例が確認されている。

各種雑誌・学術集会においても、本疾患についての解説・症例報告・調査や取り組みの報告等が
続いており、患者の急増と治療法の未確立を示している。


日本の調査では、経口ビスホスホネート製剤が原因での患者が欧米の調査よりも多いことが
示されている。
原因については、薬の承認の時期の違いや保険適応の関係ではないかと考えられている。


ビスホスホネート系薬剤の使用の急増に伴い、歯科治療における最も重大な問題点の1つと
なっており、日本口腔外科学会・日本有病者歯科医療学会など多くの学会が本疾患の調査を
続けており、すでに日本骨粗鬆症学会、日本骨代謝学会を中心とし、日本歯周病学会、
日本歯科放射線学会、日本口腔外科学会が加わる、BP関連顎骨壊死検討委員会が立ち上がって
おり、ガイドラインを発表、2009年中にポジションペーパーとしてJournal of Bone and
Mineral Metabolismに掲載が予定されている。





 

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