唾液分泌のしくみ

交感神経と副交感神経] 
(自律神経) 

交感神経優位でも副交感神経優位でも唾液分泌を促進します。
唾液を完全にストップさせるしくみは知られていません。
交感神経優位の際には、水分が少なくタンパク質濃度の高く
粘度の高い唾液を少量分泌します。
副交感神経優位の際には、水分が多くタンパク質濃度の低い
粘度の低い唾液を多量に分泌します。





[安静唾液
分泌と刺激唾液分泌] 

安静時唾液は副交感神経の刺激によって分泌されます。
タンパク質とカリウムイオンが多いのが特徴です。

一方、刺激時唾液=食事性反射唾液は、主に副交感神経の刺激に
よって、少しだけ交感神経の刺激によって分泌されます。
分泌量は無味無臭の条件下で安静時の4.5倍で、実際の食事は
有味有臭なので、教科書的には10〜20倍です。
水分とナトリウムイオン、タンパク質が多いのが特徴です。

安静時唾液は副交感神経優位の状況で、刺激時唾液も副交感神経
優位の状況で分泌されることになります。
しかし、現代人は交感神経優位の人が多いので、あるいは自律神経
失調の人が多いので、唾液分泌量は著しく減少することになり、
ドライマウス口腔乾燥症の人が増えることになります。
さらに、唾液分泌量が少ない上に、唾液の性状が悪化すると唾液を
飲み込み難くなり、唾液過多を訴えるようになります。

食事中にドライマウス口腔乾燥や唾液過多の症状が軽減するのは、
食事が最も副交感神経優位になる状況からです。
普段交感神経優位の現代人も食事中だけは副交感神経優位になる
のでしょう。
尚、交感神経優位や自律神経失調の最大の要因は、血糖調節障害
(血糖値乱高下)だと思います。






[水
と電解質(イオン)の分泌] 

副交感神経からアセチルコリンが分泌されます。
アセチルコリンはムスカリン受容体に結合します。
  ・Gタンパク質
  ・ホスホリパーゼC
  ・イノシトール三リン酸(IP3)
これらを経てカルシウムイオンの濃度が上昇します。
カルシウムイオンによってクロール(Cl)イオンチャネル
(アクアポリンAQP6)とカリウムイオンチャネルとが開きます。
唾液の原液中に増加したクロールイオンはナトリウムイオンを
引き込みます。
浸透圧の変化が起こることによって、水がアクアポリンAQP5を
経由して唾液の原液に移動します。





[タンパク質
・糖タンパク質の分泌] 

房細胞内でタンパク質が合成されます。
他の細胞と同様にリボゾームで合成されます。


<交感神経による分泌>
交感神経からノルアドレナリンが分泌されます。
ノルアドレナリンはアドレナリン受容体に結合します。
  ・Gタンパク質
  ・アデニル酸シクラーゼ(AC)
  ・cAMP
これらを経て、PKA(cAMP依存性プロテインキナーゼ)が
活性化します。
PKAは目的のタンパク質をリン酸化します。

リン酸化によって活性化されたタンパク質が唾液の原液中に分泌
されます。


<副交感神経による分泌>
  ・Gタンパク質
  ・ホスホリパーゼC
  ・ジアシルグリセロール(DG)
これらを経て、
KPC(プロテインキナーゼC)が活性化します。
PKCは目的のタンパク質をリン酸化します。
リン酸化によって活性化されたタンパク質が唾液の原液中に分泌
されます。





[糖タンパク質・ムチン] 

ムチンはアポムチンと呼ばれるコアタンパクが、無数の糖鎖に
よって修飾されてできた巨大分子の総称で
唾液では、顎下腺や舌下腺、小唾液腺の粘液腺細胞から分泌されて、
唾液に粘性と潤滑性を与えます。

ムチンの糖鎖のさらに側鎖には硫酸基やシアル酸があり、
負の電荷を与えています。
このため、ムチンは互いに電気的に反発しており、巨大分子なのに
唾液中に溶解できます。

ムチンのコアタンパクは総称してMUCと呼ばれています。
発見順に番号がついています。
このコアタンパクをコードする遺伝子が、ヒトでは少なくとも
19種類存在します。
このうち、唾液に関係するのは、MUC5BとMUC7です。
唾液の粘性はMUC5Bに関係が深いようです。
唾液の曵糸性はMUC7に関係が深いようです。

また、唾液の粘性は唾液に含まれるタンパク総量とも関係して
います。

これらから考察されるのは、何らかの理由でムチンの合成が上手く
行かないと、唾液がまとまりにくくなり、泡状の唾液となり、
嚥下しにくいため、唾液過多を訴えるようになるのではないかと
推察されます。
逆に、何らかの理由でムチンの合成が上手く行かず、粘性が強過ぎ
たり、曵糸性が強過ぎたりすると、細菌が増殖しやすくなり、
虫歯や歯周病が進行しやすくなるのではないかと推察されます。





[免疫グロブリン=抗体の分泌] 

唾液中には3種類の免疫グロブリン=抗体が存在します。
  ・(分泌型)IgA
  ・IgG
  ・IgM
このうち90%が分泌型IgAです。
白血球の中のBリンパ球(B細胞)の一部が唾液腺の腺房細胞の
すぐ近くに配備されていて免疫グロブリン=抗体を産生します。
腺房細胞は、バックヤード(Bリンパ球サイド)からフロントサイド
(腺管細胞側)へ免疫グロブリン=抗体をスルー(トランス
サイトーシス)することによって分泌します。

分泌型IgAは眼球表面や鼻粘膜、消化管など外界と接する部分を
担当する免疫グロブリン=抗体です。





[腺房細胞と
導管細胞] 

唾液腺は
  ・唾液を合成分泌する腺房細胞
  ・唾液を移送す導管細胞
から成ります。
腺房細胞も腺管細胞も同じ幹細胞から分化します。
  ・身体的ストレス(病気など)
  ・精神的ストレス
  ・栄養障害
などが、おそらく原因となって条件が悪化すると、腺房細胞が
導管細胞へ変化してしまいます。
つまり、腺房細胞が減少して、導管細胞が増加します。
これによって、腺房細胞による唾液の合成・分泌が減少して
唾液減少症、ドライマウス口腔乾燥症を引き起こします。
正常な細胞分化に最も関連する栄養素はビタミンAと亜鉛です。
尚、SOD遺伝子欠損マウスは、唾液の分泌量が減少するという
実験結果が出ています

SODスーパーオキシドディスムターゼは活性酸素を除去する
システムの中心的な酵素です。
ヒトには3種類のSODが存在し、
  ・銅と亜鉛とを活性中心に持つタイプ
  ・マンガンを活性中心に持つタイプ
があります。

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唾液分泌量測定 

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