息さわやか外来
口臭症の治療
更新日:2018年12月6

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口臭測定(オーラルクロマ)  

口臭の栄養医学療法  


TOP(横山歯科医院)  

口臭の原因]   

・飲食物由来
・プラーク(歯垢)(起床時口臭)
・舌苔
・虫歯
・歯周病
・口呼吸
・喫煙
・ストレス
・生理(月経)
・鼻炎
・副鼻腔炎(上顎洞炎)(蓄膿症)
・扁桃炎(膿栓)
・逆流性食道炎(胃酸逆流症)
・胃の不調
・腸内環境悪化
・気管支炎
・肺炎
・ダイエット臭
・自臭症 



腸内環境由来口臭]   

摂取した食物中の糖質(炭水化物、脂、タンパク質の一部が
腸内細菌によって発酵し、
  ・
二酸化酸素
  メタン
  硫化水素
  アンモニア
などのガスを発生します。
発生ガスの一部はオナラ(放屁)として排出されます

残りは、腸管から吸収され血液経由で運ばれ肝臓で解毒化・
無臭化されます。

ところが、
  ・ある特定の栄養素の摂取が多い
  ・腸内環境が悪い
  ・肝臓の機能低下
などがあると、無臭化しきれなかったガスが血液経由・肺経由で
呼気として排泄されます。
そして、口臭として認知されます。



[ケトン臭]   

内蔵系の口臭の代表は糖尿病に伴う口臭(ケトン臭)です。
例え糖尿病と診断されていなくても、ビタミンやミネラルが不足
しているために糖質(炭水化物)からエネルギーをつくる回路の
効率が低下すると、それを補うために脂肪やタンパク質から
ケトン体が生産されます。
「ダイエット臭」も含まれます。
相当数の潜在患者がいると思います。



[ダイエット臭(ケトン臭と酸性口臭)]   

「酸っぱいツンとくる強烈な臭い」の口臭がする患者さんが
増えていると、2005年頃から当院HPやブログで報告して
きました。
私はずっとGERD(逆流性食道炎、胃食道逆流症)による
胃酸の臭いだと思っていました。

虫歯多発や口臭・胸焼けなど、他の症状を併発している
患者さんに対しては耳鼻咽喉科や消化器内科を紹介して
検査を受けてもらったこともあります。
しかし、いずれも異常なしとの検査結果でした。

近年、「ケトン臭」による口臭や体臭の話が新聞で報道される
ようになりました。
そこで、ニオイの研究と治療で有名な五味クリニックの
五味常明先生のHPを読んだところ、「酸っぱいツンとくる強烈な
臭い」の口臭は「ケトン臭」が原因であることがわかりました。

ケトン臭は一般的に新聞などでは甘酸っぱい臭いと表現されて
いますが、ケトン臭を生じるような体調がさらに悪化すると
酸っぱいツンとくる強烈な臭いの口臭へ変化すると、五味常明
先生は指摘されています。

飢餓状態(食餌ダイエット中)や糖尿病時では、糖(グルコース)
からエネルギーを供給するシステム(解糖系〜TCAサイクル〜
電子伝達系)が機能しません。
その代わりとして脂肪(脂肪酸)からのエネルギー産生を増やす
必要があり、脂肪酸の分解(β酸化)が亢進します。
しかし、糖(グルコース)が少な過ぎると、「TCAサイクル」が
全く機能しないために、分解した脂肪酸(アセチルCoA)が
余剰になってしまいます。
余剰のアセチルCoAから「ケトン体」が合成されます。

ケトン体とは、
  ・アセト酢酸
  ・ヒドロキシ酪酸
  ・アセトン
から成ります。
ケトン体は、ケト原性アミノ酸(タンパク質)からも生成
されます。
ケトン体が増える原因は、
  ・糖尿病
  ・食餌ダイエットを含む飢餓状態
  ・ペットボトル症候群のような糖質過剰による一過性の糖尿病状態
  ・ビタミンやミネラル不足によりTCAサイクルが機能しない状態
などです。

ケトン体のうち、主にアセトンが呼気や尿中へ排出されます。
アセトン臭は甘酸っぱい臭いなので、ケトン臭も一般的には
甘酸っぱい臭いと表現されます。

アセトン臭に、アンモニア臭と食道炎を起こさない程度の胃酸が
加わり「酸っぱいツンとくる強烈な臭い」の口臭に変化する
のではないかと思います。

アンモニアは主に小腸粘膜や大腸の腸内細菌、腎臓で生産され
ます。
腸内細菌のバランスが悪くなるとアンモニアが増加します。
ビフィズス菌が増えるとアンモニア生産量が減少すると言われて
います。

ケトン体が増加して血液が酸性に傾いた状態が、高血糖性ケト
アシドーシス(DKA)です。
DKAの初期症状は「感冒様症状」のこともあります。
すなわち、鼻水・咳・咽頭痛・倦怠感・頻脈・呼吸数増加など
です。
内科で風邪薬を処方してもらったけれども改善しない場合には、
DKAなども考えなくてはなりません。
重症の場合の症状は昏睡です。

極めて稀ですが、劇症型1型糖尿病というのもあります。
2000年に日本で発見された比較的新しい疾患概念です。
やはり初期症状は「感冒様症状」です。
遺伝子の型(HLAタイプ=白血球の血液型)に加えてウイルス
感染により発症するのではないかと推定されています。
診断の遅れは重篤化することもあるようです。

<参照>
  ・五味クリニックHP
  ・イラストで学ぶ生化学
  ・イラストレイテッド生化学
  ・脂質と血栓の医学HP
  ・ステップビヨンドレジデント
  ・エキスパートナース



[口臭
症患者さんの傾向]   

従来、口臭の原因の90%は口腔内にあるとされてきました。
口腔内に原因があるとは、多くは歯周病で、残りが虫歯です。
歯周病の原因菌と、口臭の原因菌とが、ほぼ重なっているから
です。
しかし、口臭を主訴に当院を来院される患者さん90%以上は、
虫歯や歯周病が原因ではありません。
つまり、
  ・口腔周囲組織の疾患や内蔵疾患に伴う口臭
  ・栄養障害(栄養素不足や過剰)に伴う呼気が原因の口臭
  ・腸内細菌バランスの悪化に伴う呼気が原因の口臭
  ・カンジダ症に伴う口臭
が多いということになります。

重度の歯周病で強烈な口臭を発している人のほとんどは、
口臭の自覚がないのは不思議な現象です。

一方、歯周病がないか軽症で、口腔内細菌が原因の狭義の口臭が
ない人で、尚且つ栄養障害や腸内細菌バランスが悪い人の場合は、
口臭を自覚しやすいようです。



[口臭の不思議]   

重度の歯周病や、ヘビースモーカー&歯周病で強烈な臭いの
典型的な口腔内原因型の口臭の患者さんが、口臭を治療して
欲しいと訴えることはほとんどありません。
職場の同僚や家族はさぞ大変だろうと想像されますが、
本人は全く気にしている様子がみられません。
仮に、口臭検査を行って、重度の口臭があるという結果が
出たとしても、まるで他人事のような反応しか示しません。
この理由として、
  ・嗅覚は最も慣れやすい感覚である
  ・重度の歯周病があるような患者さんは嗅覚細胞が劣化している
などが考えられます。



[嗅覚
低下は大病の前病状態の可能性]   

嗅覚低下は、アルツハイマーやパーキンソンなど大病の前病状態の
可能性があります。
本人が口臭を自覚していない場合、家族や友人は口臭を指摘して
あげる方が親切だろうと思います。



[口臭症の治療法]    

(1)原因除去
(2)栄養医学療法
(3)漢方薬治療


 

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