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[いびき・睡眠時無呼吸キーワード目次] 更新日:2012年5月9日
いびき・睡眠時無呼吸 目次 |
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総合診療医
口腔機能サポートと噛み合わせ治療で予防歯科
横山歯科医院
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[睡眠時無呼吸症候群 考]
<目次> (パスワードPWはタイトルをコピー&ペースト)
1.睡眠時無呼吸症候群の治療法
2.根本治療は口腔機能の向上
2−1 歯列アーチ拡大による舌スペースの確保
2−2 MFT口腔筋機能療法
3.発音と反対咬合と睡眠時無呼吸症候群と
3−1 アメリカでは反対咬合は稀・・・・発音との関係
3−2 抜歯矯正と睡眠時無呼吸症候群
3−3 アメリカでは痩せの睡眠時無呼吸症候群は稀
4.鼻閉と口呼吸の問題
4−1 離乳食とアレルギーとの関係
5.ヒトは口呼吸が悪化して死ぬ
[1.睡眠時無呼吸症候群の治療法]
重度〜中等度の患者さんはシーパップ(CPAP)が標準治療です。
軽度の患者さんはスリープスプリントが標準治療です。
シーパップからドロップアウトしてスリープスプリントへ移行する患者
さんは少なくありません。
シーパップ使用開始直後はその効果に感動していた患者さんも、次第に
違和感や不便さが優位になります。
大きな寝返りを打てない、旅行や出張にシーパップを持っていくかどうか
悩むというのが大きな問題となります。
スリープスプリントの方が違和感も小さく、旅行や出張に持って行くにも
便利ですが、スリープスプリントからドロップアウトする患者も少なく
ないはずです。
スリープスプリント治療では下顎を何mm前方に出したら良いか等の
データが揃いつつあります。
しかし、30歳で睡眠時無呼吸症候群と診断されたとすると、以降50年間
スリープスプリントを使用し続ける理屈になり、現実問題として継続使用
不可能だと思います。
ちなみに噛み合わせ治療や顎関節症治療で使用するスプリント(マウス
ピース)の場合、使用期間は3〜6か月程度です。
2〜3クール使用したとしてもトータルで1〜2年程です。
一方、シーパップを50年間使用すると考えるとドロップアウトするのが
当然です。
もしドロップアウトしない人がいるとすれば、おそらく
・日中の眠気が著しく、そのままでは会社をクビになる
・心臓が止まりかけた等重大な危険サインが生じた
患者さん達でしょう。
逆にドロップアウトしない場合、「顔の変形」も問題となってきます。
シーパップにしろスリープスプリントにしろ所詮対症療法ですから、
睡眠時無呼吸症候群自体は全く改善されません。
[2.根本治療は口腔機能の向上]
睡眠時無呼吸症候群の最多パターンは舌根(舌の根本)が気道を塞ぐこと
です。
舌根が気道を塞ぎにくくすることが根本治療です。
・舌の置き場所、すなわち広い舌スペースを確保すること
・舌が正しい位置、すなわち「上へ前へ」
<2−1 歯列アーチ拡大による舌スペースの確保>
左右的にも上下的にも歯列アーチが縮小し、舌スペースが小さくなる
ことは、口腔領域の典型的な老化パターンです。
歯列アーチが縮小し、舌スペースが小さくなると、下顔面にシワが
できやすくなります。
ほうれい線が深くなります。
下顔面のシワと深いほうれい線は典型的な老け顔です。
さらに咀嚼筋や表情筋のバランスが崩れて、上顔面のシワの原因になる
こともあります。
前後左右的に歯列アーチが縮小する理由は、主に頬杖や横向き寝・
うつ伏せ寝などの生活悪習癖です。
睡眠時無呼吸発症後は、舌根沈下防止のため横向き寝や「うつ伏せ寝」が
推奨されていますが、子どもの頃からの横向き寝やうつ伏せ寝の習慣が
睡眠時無呼吸症候群の原因になっている事実は矛盾であり皮肉であります。
上下的に歯列アーチが縮小する理由は、主に食いしばりや虫歯の放置など
です。
アンチエイジングの視点からも睡眠時無呼吸症候群治療の観点からも
歯列アーチ拡大による舌スペースの確保は重要です。
冠作製や歯列矯正によって歯列アーチを拡大する必要が生じることも
あります。
ところが、元々歯列アーチが小さい人もいます。
いや、各種生活悪習癖によって歯列アーチを小さくさせてしまった人も
います。
小児期から歯列アーチを大きくするような生活習慣や、予防的治療が
重要です。
<2−2 MFT口腔筋機能療法>
舌先も奥舌も「上へ前へ」位置していれば舌根が気道を塞ぎにくく
なります。
「MFT口腔筋機能療法」である程度は改善します。
しかし、元々の口腔筋機能があまりにも低過ぎると、機能訓練効果は
見込めません。
具体的は、訓練前の段階でサクランボのヘタを口の中で結べる、或いは
もう少しで結べそう程度の舌機能を有していないと、大人になってからの
MFT口腔筋機能療法の効果は現れません。
やはり、小児期からの訓練開始が重要なのです。
[3.発音と反対咬合と睡眠時無呼吸症候群と]
<3−1 アメリカでは反対咬合は稀・・・・発音との関係>
オトガイ(下顎骨の先端部分)が発達している欧米人ですが、実は
「反対咬合」が極めて少ないのが特徴です。
アメリカ人の歯列不正の多くが、上顎前突(出っ歯)か上下顎前突
なのです。
これは発音との関係があると私は考えています。
英語は子音が多いのが特徴です。
・[th]のように上下の歯の間に舌をはさむ・・・上下顎前突へ
・[f][v]のように下唇を噛む・・・上顎前突(下顎後退)へ
・[l]のように舌が上顎に接する・・・低位舌抑制
これに対して、日本語は子音が少なく母音が多いのが特徴です。
母音が多いので、世界一美しい言語という研究者も多く、また世界一
「低音域」の言語でもあります。
相対的に、子音が多い言語の方が高音域で、母音が多い言語の方が低音域
です。
ハリウッドのスターの声が意外に高くて、吹き替え声優とのギャップに
驚いた経験が誰にもあるはずです。
子音が少ない日本語は、舌の動きが少なくて済むので「低位舌」になり
やすい環境にあるのです。
「低位舌」は舌根が気道を塞ぎやすく睡眠時無呼吸症候群を発症しやすい
舌位置なのです。
<3−2 抜歯矯正と睡眠時無呼吸症候群>
2008年放送の「NHK 病の起源 第1集 睡眠時無呼吸症〜石器が
生んだ病〜」の中でアメリカでは、顎を大きくする矯正治療が増えつつ
あると報告しています。
歯並びが悪いと、その理由が上顎前突(出っ歯)であれ、反対咬合であれ、
叢生(凸凹)であれ、ほとんどのケースで抜歯矯正が行われてきました。
しかし、抜歯矯正では顎(舌スペース)が小さくなるので、舌の居場所が
狭くなり、舌根が沈下し気道が狭窄するため、睡眠時無呼吸になりやすく
なります。
抜歯矯正が原因と思われる睡眠時無呼吸症例では、「顎(舌スペース)を
大きくする矯正治療」が必要だというのです。
<3−3 アメリカでは痩せの睡眠時無呼吸症候群は稀>
少し前、日本の睡眠研究者が睡眠時無呼吸の研究をアメリカの医学誌に
投稿したところ、ほとんど採用されなかったとのことです。
理由は、
・それほど太っていない人が睡眠時無呼吸を発症するはずがない
・データの捏造に違いない
だったそうです。
それでも、次々に日本からの論文が送られて来るのを不思議に思った
調査団が日本にやってきてビックリ仰天。
米国人の場合相当太らないと発症しない睡眠時無呼吸ですが、日本人は
少し太めでも、或いは「標準体型」でも発症しうるのです。
それは、日本人が短頭形でつぶれた顔面構造をしているため、顎の
奥行きも短く、舌スペースが狭く、舌根が沈下し気道を塞ぎ、睡眠時
無呼吸症候群を引き起こしやすい民族だからです。
それに加えて、舌をあまり使わなくても話せてしまう日本語の問題が
あると思うのです。
現在、幼児の英会話教室ブームです。
幼児から英会話を習わせることは、歯列アーチを大きくし、舌スペースを
確保して、睡眠時無呼吸症候群を予防する観点から、たいへん有効な
健康増進法ではないかと思います。
[4.鼻閉と口呼吸の問題]
舌の定位置「上へ前へ」の障害となるのが鼻詰まりであり口呼吸であり
ます。
鼻詰まりのない単なる習慣性口呼吸も少なくなく、こちらは訓練で
口呼吸を改善できる可能性が高いのです。
けれども、鼻閉(通年性鼻炎)を伴う口呼吸は、鼻呼吸が困難な状況
ですからなかなか改善できません。
<4−1 離乳食とアレルギーとの関係>
統計がそこそこ正確なそこそこ先進国の中で最もアレルギーが少ないのが
モンゴルと言われています。
遊牧民が多いモンゴルでは家畜由来の感染症に不顕性感染していて、
免疫システムの司令塔であるヘルパーTリンパ球のバランスが良いのが
アレルギーが少ない理由ではないかとする説が有力です。
しかし、授乳期間が長いのが主な理由ではないかと考える先生もいます。
私もそう思います。
はっきりしたデータはありませんが、母乳育児を推進実行している
お母さん達のHPを見ると、モンゴルでは小学校入学まで母乳を与えて
いる母子が珍しくないようです。
「母乳育児の良いところ」は、まずは鼻呼吸の習慣が身に付くことです。
口呼吸では母乳は呑めません。
次に、舌を中心とした口腔機能が訓練されることです。
ミルクに比べて母乳は数倍の労力が必要で、その労力分だけ口腔機能が
訓練されます。
汗をかきかき母乳を呑む乳児は当たり前の光景ですが、汗をかきかき
ミルクを呑む乳児がいたら病院へ連れて行く必要があります。
第3に、母乳育児は離乳食が遅くなり、腸が未発達の乳幼児から
アレルギー源を防ぎます。
小児アレルギーを研究している先生の多くは腸内環境に行き着きます。
腸内環境は、腸内細菌環境整備と腸が未発達の乳幼児からアレルギー源を
防ぐ2つがポイントです。
つまり、睡眠時無呼吸症候群を予防しようと考えると、母乳育児と離乳食
との問題にまで行き着くのです。
[5.ヒトは口呼吸が悪化して死ぬ]
20年程前にに本川達雄先生の「ゾウの時間 ネズミの時間—サイズの
生物学」が 出版されて話題となりました。
(「BOOK」データベースより)
動物のサイズが違うと機敏さが違い、寿命が違い、総じて時間の
流れる速さが違ってくる。
行動圏も生息密度も、サイズと一定の関係がある。
ところが一生の間に心臓が打つ総数や体重あたりの総エネルギー
使用量は、サイズによらず同じなのである。
ネズミ等の小さい動物は脈拍が速く寿命も短いけれど、ゾウ等の大きい
動物は脈拍が遅く寿命も長く、寿命の間に鼓動する心臓の回数は体の
大きさに関わらず同じであるという説です。
心臓血管外科や循環器内科の先生は心臓の拍動で老化の程度や死期の
近さを判断することでしょう。
脳神経科の先生や脳科学者は脳機能の衰えで老化の程度や死期の近さを
判断するのかも知れません。
歯科では口呼吸の進行で老化の程度や死期の近さを感じます。
誰でも加齢とともに口呼吸が進行します。
口呼吸の程度が急速に進行悪化した時に、患者の老化が進んだことを
感じます。
老人病院を訪ねてみれば、90%以上の入院患者さんが、餌を待つ鯉の
ごとくに大きな口を開けて寝ています。
口を閉じている患者さんを探すのは至難の業です。
「ヒトは口呼吸が悪化して死ぬのではないか」と感じる瞬間です。
少なくとも「ヒトは口呼吸が悪化して健康寿命が終わる」とは言えそう
です。
現代日本人の多くが若い時から口呼吸です。
健康寿命は縮まることはあっても延びることはないだろうと思います。
健康寿命をヒトの寿命に近づける第1歩は、乳幼児期から始める鼻呼吸
習得です。
正確には「鼻呼吸を忘れない」です。
ヒトは皆、生まれたばかりは鼻呼吸なのですから。
(横山歯科医院)