ピクチャ 4

笑気吸入鎮静法  

笑気吸入鎮静法の効果  
笑気吸入鎮静法は、笑気吸入装置で
30%の低濃度笑気と70%
酸素を混合し、専用の鼻マスクを用いて患者さんに鼻から吸入
して
もらいます。

笑気の臭いはほのかに甘い香りで、違和感なく気持よく吸入
可能
です。

吸入された笑気は、肺から血中に急速に溶け込み、5分以内に
鎮静状態に到達します。

逆に、血中からの排泄も非常に速く、笑気の吸入濃度を変える
ことによって鎮静度を迅速にコントロールすることが可能です。
そして笑気の吸入を停止すれば、いつでも速やかに鎮静状態から
回復します。
治療終了後には患者さん数分で帰宅可能です。



<笑気吸入鎮静法に対する実感>   
笑気吸入で体が暖かくなり、体が軽くなってきます。
遠くの方で音がするような感じがしたりします。
ぼんやりした非常に心地よい楽しい気分にな
ります。
体が重く感じたり、逆に軽く感じたりして、痛み感覚も鈍く
なります。



どんな患者さんに適応か   
歯科治療に不安や不快を感じない患者さんはいないでしょう。
治療の内容がごく簡単なものでも、やはり不安感を持つものです。
その意味からすると、どんな患者さんにも適応せす
なかでも、特に「笑気吸入鎮静法」が必要な症例は、次のような
ときです。
 ・歯科治療に不安感、恐怖心、不快感を持っている患者さん
 ・いわゆる神経質な患者さん
 ・小児(子ども)
 ・ストレスに対する予備力の低い高齢者
 ・既往歴に歯科治療中の神経性ショック、脳貧血様発作、
     疼痛性ショックを有する患者さん
 ・心疾患、高血圧など内科的慢性疾患を持ち、歯科治療の
     ストレスを軽減すべき患者さん
 ・嘔吐反射の強い患者さん

鼻閉などにより「鼻呼吸」のできない患者さんには物理的に無理
ですが、本来歯科治寮における禁忌症でなく、通院できる体力を
有する患者さんであれば安全に使用できます。




<適合しない場合>   
重度の栄養障害(低栄養)の患者さんの場合、笑気吸入鎮静に
よって気分が悪くなります。
疫学的には数%です。

アルコールのように遺伝的に合う合わないは報告されていません。
 

Caplis001 のコピー

[カートリッジウォーマー]  

体温と同じ37度の液体が最も痛くないという説に基づき、
カートリッジウォーマーで麻酔液を保温します。




[特殊注射器の使用  

少量ずつしか注射液が出ないので液体圧力による疼痛を最小限度に
する注射器を使用します。




[細い注射針]   

CMでも細い注射針(インスリン用)がPRされる時代になりました。
しかし、単に細ければ良いわけではありません。
注射針の先端は斜めにカットされていますが、カット部分の処理が
悪いとメクレ上がって、抵抗が大きくなり痛みが強くなります。
カット部分の処理はメーカーによって全く異なりますし、ロットに
よっても微妙に違います。
常に出来が良いメーカーとロットを探します。




[デンタルフォビア歯科恐怖症]    

90%の人が、笑気吸入鎮静法をはじめとする減痛対策が
有効です。
しかし、10%の人が、減痛対策が無効です。
その場合には、大学病院での「
静脈内鎮静法」などでの治療が
必要です。


<抗不安薬とデンタルフォビア歯科恐怖症  

デンタルフォビア歯科恐怖症が重症の場合には、或いは嘔吐反射が
中等度の場合には、まずは神経内科や心療内科を受診されることを
お勧めします。
「不安神経症」等の診断がつけば「抗不安薬」を処方してもらえます。
歯科受診の前に必ず抗不安薬を服用してから受診される患者さんも
少なくありません。
抗不安薬と笑気吸入鎮静法とを併併用するケースもあります。
数回分であれば「抗不安薬」を当院でも処方できますが、長期に
必要な場合には神経内科や心療内科で処方してもらうようになります。

 

[局所麻酔が効きにくい人]   

局所麻酔の注射液は化学的に酸性です。
通常体の中は中性ですので、中性の体に酸性の注射液を浸透
させると、酸性物質に結合していた注射液が分離し、注射成分が
目的とする組織に入り込み、麻酔が効きます。

痛みや腫れがひどい、すなわち著しい炎症状態の組織は酸性状態に
なっています。
そこに酸性の注射液を浸透させても注射液の本体が分離せず、
注射液が作用しません。
痛みや腫れがひどい場合は、体の状態の影響により注射液が作用
しにくい状況になっています。

痛みがない時に虫歯を治療をすれば、麻酔も効きやすいですし、
治療も簡単なので、患者さんも楽ですが、術者側も楽です。
しかし、痛みや腫れがいよいよひどくなってから来院する患者さんが
少なくないので、麻酔が効きにくく、患者さんも大変ですが術者側も
大変です。

さらに栄養状態が悪く、体全体が酸性傾向だと、益々もって麻酔が
効きにくく、患者さんも悲惨ですが、術者側も悲惨です。




[パニック障害]    

パニック障害は笑気吸入鎮静法が有効なことが多いですが、
悪化すると笑気吸入鎮静法が無効になることがあります。
パニック障害は栄養素過剰や栄養素不足で悪化することが
多いため、歯科治療前に栄養医学的治療をする方が良いと思います。

 

ピクチャ 9

歯科無痛治療・笑気吸入鎮静法 

更新日:2018年10月22日