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[舌癌] (Wikipedia)舌癌は、口腔癌の1つで、舌前方2/3(有郭乳頭より前方)と舌下面の範囲で発生する腫瘍。口腔癌の中で最も多く口腔癌全体の30%~60%を占め、そのほとんどは舌縁部に発生する。<概念>通常、目に見える範囲であるため、早期発見は容易であるが、疼痛などの自覚症状が無い場合、放置され、腫瘍が進行してから医療機関を受診することもある。舌根部(舌後方1/3)は中咽頭に含まれ、この部位の腫瘍は舌癌ではなく口峡咽頭癌/中咽頭癌に分類される。近年、発症者、死亡者は年々増加しており、2002年の日本における舌癌の死者は1147名と30年前の2.7倍にまで増加している。<疫学>喫煙とアルコールが舌癌の原因の1つとして明らかになっている。組織型は大部分が扁平上皮癌であり、まれに腺癌がある。男女比は2:1と男性に多い。他の口腔癌に比べ若い年代での発症が多く、20から40歳代でも罹患する。10歳代で罹患した患者の報告もある。<症状>初期症状はびらんや潰瘍、結節、表面塑像な顆粒状局面であり、白斑や紅斑を含む事もある。<転移>(1)所属リンパ節転移他の口腔癌に比べ早期より発生しやすく、初診時に30~40%がすでに転移している。特に顎下リンパ節や内頸静脈リンパ節に転移することが多いとされる他、近年、画像診断機器の性能の上昇に伴い、舌リンパ節への転移の評価が容易になったことから、同部への転移の報告が増加している。(2)遠隔転移肺・気管が最も多く、この他、胸膜、肝臓、甲状腺、骨、腎臓、副腎、心臓、血管への転移や、肺・肺門・咽頭・食道・気管周囲・鎖骨・縦隔・静脈角・腹部大動脈周囲・後腹膜等のリンパ節への転移が認められる。稀な例として乳腺等への転移も報告されている。<検査>腫瘍部位の病理検査のほか、原発部位や転移部位の画像診断として、CT、MRI、PET、US、胸部X線、Gaシンチグラフィ、骨シンチグラフィが、また、重複癌の精査などで上部消化管内視鏡検査、消化管造影検査等が行われる。<治療>外科的療法、放射線療法、化学療法の治療法が、単独または組み合わせで行われる。特に外科的切除と放射線療法が行われてきた。放射線治療単独の場合、従来型の外部照射法では根治は期待できず、ラジウムやイリジウムを用いた組織内照射法が用いられる。治療成績は腫瘍の厚さが1cm未満であれば外科的療法と同等であるが、それ以上は外科的療法より劣るとされる(グレードB)。外科的療法を選択した場合、切除の範囲は臨床型、浸潤の深さ、周囲組織への進展により切除範囲が異なり、その範囲によって舌部分切除術、舌可動部半側切除術、舌可動部(亜)全摘術、舌半側切除術、舌(亜)全摘術に分類される。切除部分が大きさにより、皮弁や筋皮弁による再建術が行われ、下顎骨や口腔底に進展している場合には下顎骨辺縁切除術や下顎骨区域切除術が行われ、血管柄付き遊離皮弁などにより顎骨再建が行われる。頸部リンパ節転移がある場合、治療的頸部郭清術を行う。予防的な頸部郭清術を行うか、後発転移が認められた時に時に手術を行うかは意見がわかれており、行わない医療機関が多いが、術野に頸部が含まれるときには行われる。術前・術後に放射線療法、化学療法やその併用が組み合わされることもある。治療後は、摂食・嚥下・発語等の機能が低下するため、医師、歯科医師、言語聴覚士、歯科衛生士、看護師らにより、リハビリテーションが行われる。これらの機能の温存や審美面の理由で形態を温存するために化学療法と放射線療法の組み合わせで根治治療を行い、効果がない場合に手術をおこなうという方法がとられてきている。この方法は手術が可能な場合に手術を行う方法に比べて生存率等を上昇させたというエビデンスはない(グレードC1)が、手術回避または縮小手術による臓器・機能温存療法として期待できる(グレードB)。手術が不可能な症例においては放射線治療単独よりも生存率等が高い(グレードA)ために標準的治療と考えられている。<摂食・嚥下障害>舌癌の治療で外科的療法を選択した場合、摂食・嚥下障害が発生する。術後の機能障害は、嚥下造影検査や、水のみ検査、アンケート調査票、嚥下内視鏡などにより評価される。栄養サポートチームや医師、歯科医師、言語聴覚士、歯科衛生士、看護師らにより、リハビリテーションが行われる。舌の欠損などの主に口腔期の嚥下障害に対しては、舌接触補助床の使用も有効であるとされる。経口での栄養の摂取が困難ないし不可能な場合、胃瘻や経鼻経管からの栄養摂取が行われる。<構音障害>舌癌の治療で外科的療法を選択した場合、構音障害が発生する。術後の機能障害は、単音節発語明瞭度検査、会話明瞭度検査等により評価される。医師、歯科医師、言語聴覚士、歯科衛生士、看護師らにより、リハビリテーションが行われる。舌接触補助床の使用も有効であるとされる。
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