咬合(噛み合わせ) 

更新日:2018年10月20日

ピクチャ 4

顎咬合機能障害(不正咬合)の症状 

頭痛
・頭重感
・頭部皮膚の過敏(ブラッシング時疼痛)
・視力の低下
・涙が出て止まらない
・眼痛
・眼精疲労
・目が小さくなる
・左右の目の高さに差が出る
・まぶたの痙攣
・目の下のクマ
・三叉神経痛のような痛み
・めまい
・耳鳴り
・難聴
・耳の痛み
・耳管開放症のような症状
・顎関節症
 ・開口閉口時に顎関節部においてカクカク音がする
 ・開口閉口時に顎関節部においてザラザラ音がする

・顎変形症
・口唇が斜めに傾く
・口がちゃんと閉じない(噛み合わせがズレて閉じる)
・口が開かない
・口を開けると痛い
・知覚過敏
・歯ぎしりの悪化
・噛みしめ
・舌痛症
・味覚障害
・ドライマウス口腔乾燥症
・滑舌の悪化
・嚥下(飲み込み)障害 
・咽喉の違和感、詰まり感、疼痛
・呼吸困難感
・咳が出る
・いびき
・睡眠時無呼吸症
・首の痛み
・肩こり
・肩甲骨の痛み
・背中の痛み
・猫背
・脊椎側湾症の悪化
・心臓周囲の痛み
・肋間神経痛のような痛み
・胸部、乳房のしこりや痛み
・腹痛
・腕手のしびれや痛み
・五十肩
・指や関節の腫れや痛み(リウマチのような症状)
・腰痛
・がに股の悪化
・股関節の痛みや脱臼
・足のもつれ
・膝の痛み
・足のタコ、ウオノメ
・足底の痛み
・脚の長さが左右で違う
・寝たきり

咬合は全身の不調を現す鏡である 

頬杖に代表されるような態癖(生活悪習癖)は噛み合わせ
ませます。
あるところまでは、噛み合わせは、体の歪みの緩衝材として作用
します。
ところが、噛み合わせの歪みが限界を超えると、悪化した咬合は
全身へ悪影響を与え始めます。

それは扁桃腺(口蓋扁桃)に似ています。
扁桃腺は免疫システムの軍事基地として、鼻や口から侵入した
細菌やウイルを攻撃・捕獲しています。
しかし、侵入する細菌やウイルが大量になると軍事基地が占領され、
今度は敵の軍事基地として作用し始めます。
そして、腎臓病を代表とする様々な「
病巣感染」を引き起こします。

咬合高径が高すぎる場合の症状 

・顔面の諸筋肉が疲労しやすい
・中等度の大きさの食材を噛みにくい
・舌がもつれる感じ
・歯ぎしりや食いしばりが発生する
・咀嚼時に、冠や義歯人工歯の接触音が気になる
・会話時に、冠や義歯人工歯の接触音が気になる
・口の中が一杯になった感じ
・義歯をすぐに外したくなる
・義歯全体の床下粘膜が痛い
・嘔吐反射が発生する

歯科治療なしに咬合高径が高くなることは非常に稀です。
歯は、上下で接触していないとわずかずつ挺出します。
逆に噛み締めれば、歯は圧下します。
通常、圧下の割合が大きく、咬合高径は低くなる傾向にあります。
稀に、ほとんど噛まないで丸飲みして、尚且つ、上下の歯を接触
させる癖のない人の場合に、咬合高径が少しずつ高くなる人が
います。
上記症状のほとんどは、義歯や大型ブリッジを製作・装着した
時に生じます。



[咬合高径が低すぎる場合の症状] 

・咀嚼時に舌を噛みやすくなる
・発音時に舌を噛みやすくなる
・咬合力が低下する(硬い食材を噛むと疲れる)
・顎関節症を発症
・口唇の赤唇部が薄くなる
・顔のシワが増える
・顔の高さが低くなり、四角い顔や男っぽい顔になる
・顔の高さが低くなり、老け顔や貧相な顔貌になる
・口角炎ができやすくなる
・聴力が低下する
・耳鳴りが生じる

咬合高径低下は歯科治療でも起こりますし、日常生活でも生じます。
口腔周囲の老化、すなわち顔面&頚部の老化は咬合高径低下に
伴って生じるとさえ言えます。

老け顔の典型的特徴は目尻のシワではありません。
実は、ほうれい線の深さの方が重要なのです。
ほうれい線の深さは咬合高径低下に伴って生じます。
次のような実験が有名です。
コンピュータ処理によって、元の顔に目尻のシワを追加した場合と、
ほうれい線の深さを追加した場合とで、どちらが老け顔に見えるか
アンケートを取りました。
その結果、圧倒的多数でほうれい線の深い顔を老け顔と認識する
ことがわかりました。
さらに、ほうれい線の深さと同じくらい老人に見える状態が、
首のシワでした。
首のシワは筋力低下と咬合高径低下との両方で引き起こされます。

虫歯と咬合(噛み合わせ)との関係 

「虫歯」は磨き残しが原因の一部であることは間違いありませんが、
虫歯の発生には噛み合わせが大きく関与しています。
詰め物の金属が取れるケースの多くが、噛み合わせが関係して
います。
冠が外れる、差し歯が折れるケースのほとんどが咬合の影響下に
あります。

虫歯の穴がなくても、歯髄(神経)は過大な咬合力によって
炎症を起こし歯髄炎を発症します。
咬合力や頬杖などによる外力による歯髄炎も、虫歯による
歯髄炎と同じような痛みを生じ根管治療が必要となります。

また、歯ぎしりや食いしばり(噛み締め)によって口腔関連筋が
疲労すると、筋肉痛による関連痛」(痛みの混線)として
歯痛が起こることも少なくありません。



[前歯に虫歯がある] 

そこそこ磨けているにも関わらず、虫歯ができやすい人がいるのも
確かです。
普通は磨きやすい前歯より、磨きにくい奥歯の方が虫歯が進行
しやすいのですが、口呼吸や舌の機能不全の人は、前歯と奥歯の
歯が同程度、あるいは奥歯より前歯の方が歯が進行します

また、奥歯に早期接触(外傷性咬合)があり噛みにくいと、
通常の咀嚼サイクルでは咀嚼できないので、下顎を一旦前方に
ズラしてから後方に引き戻しつつ咀嚼することになります。
この場合、前歯に過大な負担がかかり亀裂が生じ、そこから虫歯に
進展します。
虫歯になる前に、破折することも少なくありません。
つまり、奥歯の噛み合わせが悪いと、前歯が虫歯になったり
折れやすくなったりするのです。

噛み癖(咀嚼側) 

左噛みの人の場合、噛む方の左側の方が自浄作用が働きプラークが
少なく、噛まない側の右側の方がプラークが多くなります。
少年期〜青年期にかけては、プラークが多い右側の方が虫歯に
なりやすく、中高年では咬合力負担増の左側が痛むようになります。
噛み癖側の咀嚼筋が疲労しているため、そのストレスが歯痛
(関連痛)となって現れることも少なくありません。

左噛みの人の場合、左側の咀嚼筋が縮んでいるので、顔の左側が
縮んで顔の右側が伸びて、顔貌が左右非対称の歪んだ状態に
なります。
上下の口唇のラインは左上がりになります。
両目を結んだラインは左下がりになります。
すなわち、顔の左側が縮んだ顔になります。
但し、左側の咀嚼筋が肥大化するので、顔の左側が膨らんで
みえます。

歯周病と咬合(噛み合わせ)との関係 

全顎的に「歯周病」が進行する場合は、細菌(歯周病菌)や
遺伝の要因が大きい歯周病です。
重度歯周病や若年性歯周病(浸襲性歯周炎)は遺伝の影響
だったり、自己免疫性疾患の側面だったりします。

しかし、数歯だけ進行する歯周病や、前歯だけ進行する歯周病、
臼歯だけ進行する歯周病は噛み合わせが関係しています。

歯周病菌は夫婦感や恋人間でも移動する口腔感染症の原因細菌です。
その歯周病菌が、歯列アーチの一部分にのみ増殖する可能性は
極めて低いのです。
歯周病菌は移動・増殖するので、前歯も奥歯も歯周病を発症させ、
悪化させます。

歯列矯正治療と咬合(噛み合わせ)との関係 

顎関節症の患者さんの過半数は歯列矯正治療の経験者です。
歯列矯正治療が顎関節症を引き起こすこともありますが、
歯列矯正治療によって必ず顎関節症が発症するわけではありません。
矯正治療を必要としている人は、歯並びが悪いと同時に
噛み合わせも悪いのです。
矯正治療を必要としている人は、顎関節症の予備軍であったり、
既に発症しているが自覚していないだけのことが多いのです。
悪い噛み合わせに合わせて歯列矯正治療を進めると、顎関節症が
悪化することがあるので要注意です。

悪い歯並びは、悪いなりにその人の身体に適合しています。
悪い歯並びにの背後には生活悪習癖(態癖)があります。
つまり、生活悪習癖に適合した悪い歯並びが存在しているのです。
軽度の生活悪習癖であれば、通法通りの「矯正治療」でも
歯並びは改善するかも知れません。

しかし、中等度以上の生活悪習癖があれば、その原因を除去する
のが大前提となります。
生活悪習癖の程度は、治療期間に大きく影響を与えます。
生活悪習癖を除去せずに矯正治療を行えば、途中で治療が
進まなくなります。
すると、より大きな力を発揮する矯正装置に替えざるをえません。
大きな力で矯正治療を行えば、歯根吸収を引き起こす確率が
高くなります。
さらに、生活悪習癖を除去しなければ、必ず「後戻り」を
招きます。
 

歯列は口唇圧と舌圧との中間に並ぶ 

前歯は口唇圧と舌圧とのバランスの中間位置に並びます。
奥歯は咀嚼筋圧・頬筋圧と舌圧とのバランスの中間位置に
並びます。

舌の動きが悪い人は、相対的に口唇圧が強くなり、歯列は内側に
並びます。
「口唇癖」がある人は口唇圧が強くなり、相対的に舌圧が弱く
なるので
歯列は内側に並びます。
歯列が内側ということは、すなわち歯列が小さいので、歯並びは
凸凹の「叢生」になります
さらに、舌の動きが悪い人は、当然発音が不明瞭になります
歯並びが凸凹だから邪魔で発音不明瞭なのではありません
舌の動きが悪いために、発音が不明瞭になり、発音や咀嚼嚥下の
時に歯列を外側に押さないが故に、歯並びが凸凹になるのです。

舌の位置が低い「低位舌」の人は、強い舌圧で下顎前歯を押すので
「反対咬合」になります。
舌突出癖がある人は、「上顎前突」や「開咬」になります。

「異常嚥下癖」がある人は、「小顎症(下顎後退症)」になり、
過大な口唇圧によって歯列が小さくなるため、「叢生」を併発
します。

不正咬合が原因だった狭心症様症状  

40代男性。
3年前より胸部痛が出現。
A内科を受診したが異常は認められませんでした。
A内科よりB循環器内科を紹介されました。
B循環器内科で心電図や心エコー検査を受けたが、異常はみつかり
ませんでした。
狭心症様の胸部痛が続いていて、QOLが低下していました。

虫歯治療で当院受診。
不正咬合(噛み合わせ不良)が著しかったため、咬合治療を
行いました。
すると、狭心症様の胸部痛が完全に消失しました。
機序は不明ですが、同様の報告は珍しくありません。

[頭痛と咬合(噛み合わせ)との関係] 

右側だけの頭痛、左側だけの頭痛、後頭部だけの頭痛などが続く
場合、噛み合わせの不調に伴うクレンチング(噛みしめ)が
原因の可能性があります。
もちろん頭痛外来にて、脳卒中や脳腫瘍などが原因の2次性
頭痛ではないことを確認しておくことが重要です。



[咬合が原因
だった片頭痛症例] 


40代男性:友人歯科医師
左下7
(第2大臼歯)のインレーが取れたままの状態で放置して
いました。
歯ぎしりによって象牙質に細かなヒビが入り、しみるように
なりました。
そこで、自分自身で鏡を見ながら、コンポジットレジンを
充填したと言います。
しみるのを防止するための処置なので、ほんの一層の充填でしたが、
当然、対合歯の左上7と強く接触するようになりました。
咬頭干渉=早期接触が起こった訳です。
しかし、上顎の歯を咬合調整するのは自分自身では不可能ですので、
そのまま放置しました。
なるべく右側で噛むようにして、左上7/左下7が強く接触
しないように気をつけたと言います。

ところが、その夜から頭部左側側面(側頭部)に頭痛が出現
しました。
「片頭痛」のように脈打つ感じで痛むこともあったと言います。
元々歯ぎしりがありましたが、さらに歯ぎしりがひどくなりました。

5日後、左下7のコンポジットレジン充填部が、咬耗で磨り減った
のか、歯ぎしりで弾け飛んだのか、術前の状態に戻ったと言います。
その時点で頭痛は治まりました。

頭痛の該当部は「側頭筋」の起始部でした。
つまり、側頭筋の筋肉痛、すなわち
緊張性頭痛が一過性に
起こったわけですが、片頭痛のような症状が出たと言います。

これが、噛み合わせの悪化や詰め物やかぶせ物(クラウン)の
不調の場合は、継続的に頭痛がすることになります。



[首の痛み(頚部痛)と咬合との関係] 

右側だけの首の痛み、左側だけの首の痛み、後側だけの首の痛みが
続く場合、噛み合わせの不調に伴うクレンチング(噛みしめ)が
原因の可能性があります。
整形外科にて、頚椎ヘルニアなどの背骨の病気を除外することが
重要です。



咬合不調が原因だった肩こり症例] 

40代女性
これまで肩こりで悩んだ経験はありません。
半年前から右側の肩こりが出現しました。
模型を採って咬合を診断したところ、右上7(第2大臼歯)と
右下7(第2大臼歯)との早期接触(外傷性咬合・抱え込み)が
認められました。
最小限の咬合調整を行ったところ、2日後に肩こりが治りました。




腕手のしびれや痛みと咬合との関係] 

右側だけの腕手のしびれや痛み、左側だけの腕手のしびれや痛み
続く場合、噛み合わせの不調に伴うクレンチング(噛みしめ)が
原因の可能性があります。



背中の痛み(部痛)と咬合との関係] 

右側だけの背中の痛み、左側だけの背中の痛みが続く場合、
噛み合わせの不調に伴うクレンチング(噛みしめ)が原因の
可能性があります。

舌痛症と咬合(噛み合わせ)との関係 

「舌房(舌スペース)」が狭くなった場合にしばしば舌痛症を
訴えます。
舌房が狭くなる原因として、
  ・噛み合わせが低くなった場合(咬合高径低下)
  ・歯列(歯並び)が小さくなった場合
  ・下顎が左右にズレた場合
  ・下顎が後退した場合
があります。
1mm分舌房が狭くなって舌痛症を発症しなくても、その1mmに
加えてさらに0.1mm狭くなると舌痛症を発症することがあります。

  ・欠けた歯が気になって舌で触れている場合
  ・プラーク(歯垢)が気になって舌で触れている場合
  ・歯石が気になって舌で触れている場合
  ・舌が肥大した場合
にも舌痛症を発症します。

予防歯科・定期健診と咬合との関係 

定期健診でアタッチメントロス(歯周ポケット)や歯牙の動揺度を
計測するのは、噛み合わせ悪化に伴う歯周病を早期に発見する
ためです。
噛み合わせ悪化は、虫歯の発生や詰め物冠の脱離にも関係して
います。

痛がりと咬合(噛み合わせ)との関係 

歯ぎしりや食いしばり(噛みしめ)の著しい人は歯槽骨の厚みが
増すので、麻酔液が骨中まで浸透しにくい傾向があります。
また、
  ・過大な咬合力によって歯髄が炎症を起こしている
  ・過大な咬合力によって歯根膜センサーが狂っている
  ・咀嚼筋の疲労によって関連痛(痛みの混線)」が発生し、
      神経伝達経路が狂っている
などの要因によって、本来痛くないはずのエナメル質を削合する
ことに対しても、異常な疼痛を感じる場合があります。

嘔吐反射(異常絞扼反射)と咬合との関係 

噛み合わせが低い(咬合高径低下)の人に嘔吐反射(異常絞扼
反射)が多い傾向にあります。
  ・治療すべき歯を治療しない
  ・治療を中断
すると、ますます噛み合わせが低くなって嘔吐反射(異常絞扼
反射)が悪化します。

顔が変形しやすい理由] 

骨は、そのでき方や機能によって2種類に大別されます。
  ・膜性骨化
  ・軟骨性骨化

膜性骨化・・・頭蓋・顔面の骨と鎖骨> 
骨が面でつくられます。
元々は外敵から身を守るために存在し、エビやカニの甲羅が
該当します。
ヒトでは頭蓋・顔面の骨と鎖骨だけになってしまいました。

軟骨性骨化・・・手足の骨など> 
細長い骨は体の内部に存在し、外敵から身を守るのには役立ち
ませんが、姿勢維持に役立っています。
まず軟骨ができて、その後に骨に置き換わるため「軟骨性骨化」と
言います。
この軟骨性骨は、ほぼ遺伝で大きさや長さが決まります

子どもの身長は父親の一族の平均身長と母親の一族の平均身長との
合計で決まります。
男子ならば合計に13cm(男女差)を加えて1/2にします。
残念ながら、牛乳をたくさん飲んでも、運動をしても、身長が
伸びるとされるサプリメントを
飲んでも、ほとんど身長の伸び
には効果はありません。
逆に、両親も両親の親戚も低身長なのに、子どもだけが高身長の
場合にはホルモン異常などの病気を心配しなければなりません。
または、重度の栄養障害に伴う高身長(モデル体型)かも
知れません。

<頭蓋・顔面の骨は筋機能の影響を受けやすい> 
膜性骨も遺伝の影響を受けますが、周囲の筋肉によって大きな
影響を受けやすい性質があります。

歯列矯正治療を受けると顔貌も改善することがありますが、
矯正治療自体に効果があるのではありません。
歯列矯正治療に伴って口腔機能が改善されれば、筋肉の活動も
正常に近づき、顔貌も変化するのです。

極端に太った場合、顔が大きくなりますが、従来の顔の周囲に
「肉(脂肪)」がつくだけではありません。
わずかですが、顔の骨も肥大化するのです。
同じく、極端に太った場合、肩幅が大きくなりますが、肩の周囲に
「肉(脂肪)」がつくだけではありません。
わずかですが、鎖骨も大きくなるのです。
逆に、極端なダイエットやがん(癌)なのど大病によって
栄養障害が進行すると、顎の骨は小さく薄くなります。
それに伴って、歯並びが悪化します。

 

[歯槽骨のターンオーバー(新陳代謝)サイクル]

のターンオーバー(新陳代謝)サイクルは5年〜10年と考え
られています。
顎骨、特に歯牙の周囲の骨である歯槽骨はターンオーバーが
非常に速く、10倍以上のスピードです。

栄養障害(栄養素)不足があると、顎骨は急激に小さくなります。
これが歯周病の一因となります。
さらに、噛み合わせが悪化するため、
  ・歯ぎしり
  ・顎関節症
  ・歯並びの悪化
の原因になります。

がん(癌)は異化状態(組織を分解して栄養素に戻す)の典型
ですが、がん患者さんの顎骨はびっくりするほど小さくなります。

[八重歯のおばあちゃんは稀] 

日本
歯科医師会が推進している「8020運動」は、80歳で20本の
歯を残そうというものです。
どのような条件の人が該当するか調査したところ、正常な歯並びや
噛み合わせの人が多いという当たり前の結果が出ました。
せいぜい、少しだけ出っ歯(上顎前突)や切端咬合(少しだけ
反対咬合)までが8020達成の可能性がある許容範囲となりました。

著しい上顎前突や著しい受け口、著しい凸凹の人が「8020」を
達成するのは稀です。
これらの人は、さらに入れ歯が安定せず難症例となる確立も高く
なります。

歯磨きの徹底により「八重歯のお婆ちゃん」もチラホラ見かける
ようになりましが、それでもはやり稀な存在です。
八重歯の周囲は歯磨きがしにくいので、その部分が虫歯や歯周病に
なりやすいのも理由のひとつです。
しかし、それ以前の根本原因として、八重歯の原因になった
口腔機能低下や咬合(噛み合わせ)の悪化が問題なのです。