[症状]
・舌がピリピリ、ビリビリする ・舌がピリピリとしびれるような感覚 ・舌の先や縁にヒリヒリ、ピリピリした痛み ・舌の灼熱感(熱くて燃える感じ) ・舌がザラザラした感じ ・口腔内の灼熱感 ・口腔内全体の痛み ・口腔内の乾燥感 ・味覚異常 ・口腔内のしびれ感
さらに、 ・夕方に悪化することが多い ・食事中は痛みを感じないことが多い ・夜中に舌が痛くて飛び起きることはない に当てはまれば舌痛症の可能性が極めて高いでしょう。
舌痛症が夕方に悪化するのは、抗ストレスホルモンである コルチゾールの影響です。 コルチゾールはステロイド治療薬の代表的な成分です。 コルチゾールは午前中に分泌量が多く、夕方に少なくなります。 よって、コルチゾールの減少に伴って抗炎症作用や抗鎮痛作用が 夕方に少なくなるため慢性痛(舌痛症)は夕方に悪化しやすく なります。 改善方法は、コルチゾールの分泌量を全体的に増やすことです。 < 上に戻る >
[疫学]
舌痛症の男女比は、1:10で、女性が10倍発症しやすい疾患です。 特に更年期の女性に多く発症します。 更年期〜閉経後の女性における有病率は、15〜20%と推定されて います。
舌痛症が女性に多い理由は、 (1)長年の月経に伴う出血によって女性に貧血が多い (2)卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン (プロゲステロン )とのバランスが悪く、 副腎疲労が起こり、コルチゾールの分泌が減少する からです。 改善方法は、 (1)貧血を治す (2)ホルモンバランスを修正する です。 < 上に戻る >
[舌痛症の治療法]
<舌の一部分だけが痛む場合> 舌の右側だけ痛む場合や、舌の前方部だけ痛む場合など 舌の一部分だけが痛む場合には、咬合(噛み合わせ)が関係 している可能性があります。
<舌のあちこちが痛む場合> 舌の2か所以上が痛む場合や舌の全体が痛む場合は、 口腔カンジダ症やドライマウス口腔乾燥症、栄養障害が関係 している可能性があります。 < 上に戻る >
[咬合(噛み合わせ)が関係する舌痛症]
咬合診査〜マウスピース(スプリント)療法によって舌痛症が 軽快すれば、咬合(噛み合わせ)が原因と診断できます。 保険治療です。 < 上に戻る >
[不正咬合に伴う舌痛症]
・噛み合わせが低くなる ・歯列(歯並び)が狭くなる ・歯列が狭くなることによって歯並びが凸凹になる ・歯が内側(舌側)へ傾斜する これらによって舌スペース(舌房)が狭くなります。 舌スペースが狭くなると舌痛症が発症しやすくなります。
<上下顎がズレる状況> 多くの場合、下顎がズレます。 稀に上顎がズレます。 上下の顎がズレると結果的に舌スペース(舌房)が狭くなります。 舌スペースが狭くなると舌痛症が発症しやすくなります。 < 上に戻る >
[口腔カンジダ症に伴う舌痛症]
口角炎の多くはカンジダ菌が原因です。 口角炎が痛むことがあるように、舌にカンジダ菌が感染すれば 舌が痛むことがあります。 < 上に戻る >
[ドライマウス口腔乾燥症に伴う舌痛症]
唾液の働きに ・粘膜の保護作用 ・抗菌作用 などがあります。 ドライマウス口腔乾燥症では唾液の作用が低下するため舌痛症が 生じることがあります。 < 上に戻る >
[栄養障害に伴う舌痛症]
亜鉛、鉄、葉酸、ビタミンB12不足に伴う舌痛症が有名です。 < 上に戻る >
[漢方薬による治療]
漢方薬による治療が有効な患者さんもいます。 ・黄連湯(おうれんとう) ・半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう) ・白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう) ・五苓散(ごれいさん) ・立効散(りっこうさん) ・茵陳蒿湯(いんちんこうとう) < 上に戻る >
[舌痛症とは]
痛症とは、器質的な変化(視診や触診で判別可能)が 認められないにも関わらず、舌に慢性的な痛みやしびれが 生じる病気です。 歯科治療後に発症することもあります。 食事中に痛みがないか、痛みがかなり軽減するのが特徴です。 逆に言えば、食事中に痛みが増したり痛みに変化がない場合には、 舌痛症ではなくて他の疾患の可能性が高くなります。 < 上に戻る >
[糖尿病に伴う舌痛症]
インスリンの分泌には亜鉛やビタミンB群が必要です。 糖尿病でインスリンが過剰分泌されると亜鉛やビタミンB群が 欠乏して舌痛症や味覚障害が起こることがあります。 薬剤療法や栄養療法で改善する可能性があります。
また、糖尿病の合併症である神経障害に伴う舌痛症もあります。 こちらの場合には、難治性です。 糖尿病の主治医の先生と相談しながら治療法を探るように なります。 < 上に戻る >
[胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍に伴う舌痛症]
・胃炎 ・胃潰瘍 ・十二指腸潰瘍 などで胃酸を抑える薬を長期間飲んでいる場合には、 ビタミンB12欠乏やその他の栄養素不足がおこり舌痛症を発症 しやくなります。 また、 ・骨粗鬆症 ・虫歯 ・歯周病 などを発症することもあります。 < 上に戻る >
[パーキンソン病に伴う舌痛症]
ある種のビタミンやミネラルが欠乏すると、パーキンソン病様 症状が出ることがあります。 パーキンソン病と診断されている患者さんのうちの数%は ビタミン&ミネラル欠乏症だろうと推測する先生がいます。
ビタミンやミネラルが欠乏すると舌痛症を発症しやすくなるため、 パーキンソン病患者さんの中に舌痛症が多くても不思議では ありません。 < 上に戻る >
[薬剤過多に伴う舌痛症]
薬剤を減らすことが可能であれば、減薬することが重要です。 並行して、栄養療法を行うと効果的なことがあります。 < 上に戻る >
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