[シェーグレン症候群の症状]
ドライアイとドライマウス口腔乾燥症とが2大症状です。
重症化すると肺や皮膚、神経、関節などにも症状が現れます。
[シェーグレン症候群の疫学]
推定患者数は100万人。 ほとんどが女性です。 多くが50歳以上です。
[シェーグレン症候群の検査] <鑑別検査> 採血〜血液検査で ・抗SS‐A抗体 ・抗SS‐B抗体 を調べます。 当院にて検査致します。
<精密検査> 血液検査結果が陽性の場合には、大学病院のアレルギー科や リウマチ科などでの精密検査が必要になります。
[シェーグレン症候群の診断基準]
(1)口唇小唾液腺の生検組織でリンパ球浸潤がある
(2)唾液分泌量の低下がガムテスト、サクソンテスト、 唾液腺造影、シンチグラフィーなどで証明される
(3)涙の分泌低下がシャーマーテスト、ローズベンガル試験、 蛍光色素試験などで証明される
(4)抗SS‐A抗体か抗SS‐B抗体が陽性である
4項目中で2項目以上陽性でシェーグレン症候群と診断
(2)は刺激唾液を計測しますので、食事中に唾液が少なくて、 上手く咀嚼できない、嚥下できない患者さんに向いています。 ほとんどのドライマウス口腔乾燥症の患者さんは、食事中には それ程不自由していなくて刺激時に乾燥症を感じていません。
[シェーグレン症候群の西洋医薬治療]
保険適用の医薬品は全て ・シェーグレン症候群 ・頭頚部への放射線照射治療 のどちらかの条件が必要です。 もしシェーグレン症候群と診断されれば、 ・サリグレン ・エボザック などの西洋医薬が保険適用となります。 これらの西洋医薬はあくまでも対症療法であり、退化した 唾液腺が復活するわけではありません。
[自己免疫疾患としてのシェーグレン症候群]
(Wikipedia)
シェーグレン症候群とは、自己免疫疾患の一種であり、涙腺の 涙分泌を障害、唾液腺の唾液分泌などを障害する。 40~60歳の中年女性に好発し、男女比は1対14である。 シェーグレンとは、スウェーデンの眼科医の名前である。
<原因> 抗SS-A/Ro抗体・抗SS-B/La抗体(ともに非ヒストン核タンパクに 対する抗体)といった自己抗体が存在することから自己免疫応答が 関わると考えられるが、その直接的な原因は不明である。
遺伝的要素、環境要素、性ホルモンの影響なども関わると 考えられている。
1997年に徳島大学歯学部の林良夫教授らのグループが、 モデルマウスによる実験の結果、唾液腺から採取した細胞膜を 構成する「αフォドリン」と呼ばれるタンパク質に異常が あることを発見。 人とも共通する原因であることを「サイエンス」誌上に発表した。
また、2008年には女性ホルモン低下により「RbAp」という タンパク質をつくる遺伝子が活性化し、RbApが過剰に働くと シェーグレン症候群に似た症状が出るのを確かめた。 RbApは涙腺などに細胞死を引き起こし、それにより炎症反応が 惹起されるという循環が解明された。
林教授らは「更年期の女性が発症しやすいメカニズムがようやく 分かった」とし、このタンパク質を薬などで抑えることができれば 新たな治療法の開発につながる可能性があるとしている。
2012年、鶴見大学歯学部の研究グループは、ダイオキシンの 一種であるTCDDがEBウイルスを活性化することでシェーグレン 症候群の発症に関与することを発表した。
ビオチンというビタミンB群の欠乏により発症するという説がある。
<合併症> 本症患者は悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)を発症する ことが多い(通常の16〜44倍と報告される)ことがわかっている。 これは、本症がリンパ節に慢性の炎症を来たしているため、 リンパ球の破壊と再生を繰り返すうちに、ついには一部が癌化 するものと考えられている。
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