ピクチャ 4

[接触せずに起こる全身型金属アレルギー] 

口腔内金属(歯科用金属)が原因で起こる手荒れや水虫用症状などを
「全身型金属アレルギー」と呼びます。

接触型の局所性金属アレルギーの場合、ブレスレットや時計をしている
手首に症状が出ます。

一方、全身型金属アレルギーの場合、原因となる金属と離れた場所で
症状が発生します。
まれに、食材中に含まれるミネラル(金属)によって全身型金属
アレルギーが起こることもあります。




歯科金属アレルギーの典型的な症状] 

金属周囲の歯肉が赤くなる場合、金属床義歯が原因のことも
少なくありません
歯肉や口腔粘膜に、白いレース様の扁平苔癬が出現します。
口唇周囲に発疹が出現して、口唇ヘルペスとの鑑別が必要になる
ことがあります。

掌蹠膿疱症など、手や足に発疹が出現することがあります。
体幹部に蕁麻疹が出現することもあります。
他の金属アレルギー、例えばをピアスやイヤリングアレルギー
ベルトの金属バックルアレルギーなどを誘発することがあります。




[起こり得る症状] 

  ・アマルガム刺青
  ・
うつ症状
  ・運動失調
  ・ADHD(注意欠陥多動性障害)
  ・嘔吐
  ・過呼吸
  ・過敏性腸炎様症状
  ・眼瞼痙攣(ピクツキ)
  ・関節炎
  ・嗅覚障害
  ・胸痛(狭心症様疼痛)
  ・口角痙攣(ピクツキ)
  ・甲状腺機能亢進症
  ・甲状腺機能低下症
  ・口内炎
  ・三叉神経痛様疼痛
  ・歯周病
  ・掌蹠膿疱症
  ・腎臓病
  ・睡眠障害
  ・頭痛
  ・精子減少症(男性不妊)
  ・脊椎側湾症
  ・舌痛症
  ・線維筋痛症様疼痛
  ・喘息様症状
  ・唾液過多症
  ・多発性
硬化MS)様症状
  ・てんかん様症状
  ・頭内異音(頭内耳鳴)
  ・ドライマウス口腔乾燥症
  ・涙目(鼻涙管閉塞様症状)
  ・難聴
  ・
認知症
  ・パーキンソン病様症状
  ・歯ぎしり
  ・パニック障害
  ・皮膚湿疹
  ・疲労
  ・味覚障害
  ・耳鳴り
  ・めまい
  ・靴下に穴が開く
  ・水虫様症状(異汗性湿疹)




金属アレルギーの検査] 

・「金属
パッチテスト」 




[口腔内の金属は腐食する] 

歯科金属アレルギーを研究している大学教授の話によると、
金属装着後平均2.5年で金属イオンが溶出し始めるそうです。
とは言っても、全部の金属が溶出をするのではなくて、例えば
5歯分治療したとしたら、そのうちの1本が溶出し始める平均が
2.5年ということです。
金属の艶が無くなったり、表面が粗造になったら要注意です。
酸性の口腔内環境では、例えば柑橘類を多食するとか、唾液が
酸性だとかという人の場合、金属装着後1年ほどで溶出することも
あるそうです。
逆に、中性〜アルカリ性の口腔内環境では、長期間金属が溶出
しないこともありえます。

金属の種類によっても異なります。
イオン化傾向の小さい貴金属の方が、溶出しにくい傾向にあります。
しかし、さらに重要なのは金属が酸化してつくる被膜の性状です。
歯科インプラント治療に使用されるチタン合金は、被膜の性状が
優秀で腐食しにくいそうです。
定期検診の際には、金属の劣化のチェックも必要ということに
なります。




根尖病巣に伴うアレルギー] 
 
歯性病巣感染によるアレルギー) 

症状は金属アレルギーと同じで、症状で区別はできません。
歯肉や口腔粘膜に扁平苔癬が出現します。
体幹部に蕁麻疹が出現することがあります。
掌蹠膿疱症など、手や足に発疹が出現することもあります。




[掌蹠膿疱症と歯科との関連] 

掌蹠膿疱症の原因としては不明な点が多いのが現実です。
不明な点が多いですが、可能性としては、
  ・口蓋扁桃の慢性病巣感染(主には虫歯と歯周病が原因)
  ・
根尖性周囲炎(根尖病巣)に伴う病巣感染     
  ・慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
  ・金属アレルギー
  ・歯周病に伴う病巣感染
  ・その他の頭頚部の慢性炎症
  ・虫垂炎など頭頚部以外の炎症




[歯科用セメントアレルギー] 

非常に稀ですが、歯科用セメントによるアレルギーが報告されて
います。
クラウン(冠)を装着してから症状が出現して、尚且つ金属
アレルギー検査が陰性の場合には、歯科用セメントによる
アレルギーを疑う必要があるかも知れません。




[歯科用レジンアレルギー] 

コンポジットレジン充填や義歯用レジンは重合反応が終了している
ため、ほとんどアレルギーを示すことはありません。
一方、仮詰め用のレジンや仮歯用のレジン、最終補綴物である
レジンジャケット冠などは、治療当初は重合反応が終了していない
ため、アレルギーを示すことがあります。
アレルギーを示す場合、重合反応が終了していない治療終了後〜
5日後に症状が出現することがほとんどです。
一種の化学物質過敏症なので、既に他の物質で化学物質過敏症を
発症している人はより発症しやすいです。

歯科以外の金属アレルギー] 

  ・金属のおもちゃアレルギー
  ・缶入りドリンクアレルギー
  ・メガネフレームアレルギー
  ・ピアスアレルギー
  ・イヤリングアレルギー
  ・ネックレスアレルギー
  ・聴診器アレルギー
  ・指輪アレルギー
  ・リストリングアレルギー
  ・携帯電話機アレルギー
  ・ノートパソコンアレルギー
  ・ベルトの金属バックルアレルギー
  ・ポケット内の金属アレルギー




[ラテックスアレルギー] 

天然ゴムに対するアレルギーです。
グローブ(手袋)を使用する医療従事者に多くみられます。
特に、 グローブを頻回・長時間使用する外科系医師と看護師、
歯科医療従事者に高確率で発症します。
ベテランスタッフの場合には30%前後に達するという報告が多い
ようです。
表立って調査や対策が行われていませんが、コンドームアレルギーも
相当数存在すると考えられています。
天然ゴムに対するアレルギーは、南方系植物全般に対して
アレルギーを示すことが少なくありません。
  ・バナナ
  ・パイナップル
  ・マンゴー
  ・キウイ
逆に考えれば、これらの果物に対するアレルギーがある人は、
将来ラテックスアレルギーを発症する確率が高いと言えます。

歯科治療とも全く無関係ではありません。
現在、根管充填では95%以上「ガッタパーチャポイント」が使用
されています。
ガッタパーチャポイントの主成分であるガッタパーチャは天然ゴム系
植物です。
しかし、
  ・大学歯学部歯内療法学教授
  ・日本で最初に本格的な根管治療の研究を開始した
      
日本一有名なエンドドンティスト
  ・アメリカの大学で最新の根管治療を学び、東京都心部で
      高額自費治療による根管治療のみの専門クリニックを
      開設しているセミナー講師
に確認したとろ、ガッタパーチャポイントによるアレルギーを
これまで考えたことも無かったとの回答でした。
ガッタパーチャポイントを使用した根管充填で特に困った難症例に
出会ったことが無いそうです。
ガッタパーチャはアレルギーが極めて少ないのかも知れません。


<ガッタパーチャポイントの組成(歯科大辞典)>
  
・酸化亜鉛    :61〜75%
  ・ガッタパーチャ :18〜20%
  ・ワックスとレジン:1〜4%
  ・重金属硫酸塩  :2〜17%




[金属アレルギーのチェックリスト] 

(1)ピアス・ネックレス・ブレスレット・腕時計・ベルトの
   バックルなど金属製品でかぶれたことがある
(2)手荒れがひどい・続いている
   手に小さな水疱ができて治らない
   水虫を皮膚科で治療しても治らない
(3)口の中の粘膜にレースカーテンのようなまだら模様が
   できている(扁平苔癬・白板症)
(4)身体がかゆい
   湿疹やじん麻疹がよくできる
(5)口腔内金属(歯科用金属)を入れてから体調が悪い
(6)頭痛・首の痛み・肩こりがあって、さらに悪化傾向にある
(7)クラウンやインレーが装着されている
(8)味覚障害・味覚異常がある
(9)口腔内金属部分から唾液があふれてくる

金属アレルギー 

*金属アレルギーのパッチテスト 

*金属アレルギーの血液検査 



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金属アレルギー

更新日:201811